電子帳簿保存法:電子データ保存する場合のデータ名に決まりはあるの?

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令和6年1月1日から「強制」される「電子データ保存」

電子帳簿保存法において、令和6年1月1日以降強制される「電子データ保存」については、過去の記事でも紹介しましたので、まずはこちらをご確認ください。

インボイス制度への対応に追われ、その3か月後に義務化がスタートする「電子データ保存」について何も対応されていないのが正直なところではないでしょうか?

電子データ保存については保存方法や検索方法、改ざん防止等細かい要件が付されていますが、今回はその中でも「ファイル名の付け方」に限定して整理したいと思います。

電子データ保存する際のファイル形式は?

電子データにはHTMLメールやPDFなど様々な形式のものがありますが、電子帳簿保存法の要件を満たす電子データのファイル形式には何か決まりがあるのでしょうか?

これについては、国税庁が交付している「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問32に具体的に記載されています。なお、問番号については、今後情報が追加された場合変更されることがありますのでご注意ください。

問32 電子取引を行った場合において、取引情報をデータとして保存する場合、どのような保存方法が認められるでしょうか。

【回答】
電子取引を行った場合には、取引情報を保存することとなりますが、例えば次に掲げる電子取引の種類に応じて保存することが認められます

  1. 電子メールに請求書等が添付された場合
    • 請求書等が添付された電子メールそのもの(電子メール本文に取引情報が記載されたものを含みます。)をサーバ等(運用委託しているものを含みます。以下同じです。)自社システムに保存する。
    • 添付された請求書等をサーバ等に保存する。
  2. 発行者のウェブサイトで領収書等をダウンロードする場合
    • PDF等をダウンロードできる場合
      • ウェブサイトに領収書等を保存する。
      • ウェブサイトから領収書等をダウンロードしてサーバ等に保存する。
    • HTMLデータで表示される場合
      • ウェブサイト上に領収書を保存する。
      • ウェブサイト上に表示される領収書をスクリーンショットし、サーバ等に保存する。
      • ウェブサイト上に表示されたHTMLデータを領収書の形式に変換(PDF等)し、サーバ等に保存する。
  3. 第三者等が管理するクラウドサービスを利用し領収書等を授受する場合
    • クラウドサービスに領収書等を保存する。
    • クラウドサービスから領収書等をダウンロードして、サーバ等に保存する。
  4. 従業員がスマートフォン等のアプリを利用して、経費を立て替えた場合 従業員のスマートフォン等に表示される領収書データを電子メールにより送信させて、自社システムに保存する。なお、この場合にはいわゆるスクリーンショットによる領収書の画像データでも構いません。

おって、これらのデータを保存するサーバ等は可視性および真実性の要件を満たす必要がありますので注意してください。

これらを整理すると、次のようになります。

電子メール

電子メールの本文に日付や取引金額などの取引情報が直接記載されている場合は、電子メールそのものを自社サーバ(運用委託しているものを含みます)に保存するか、取引情報が損なわれないようにPDF等に変換して保存します。

また、電子メールに請求書等が添付されている場合は、添付されたデータをサーバ等に保存します。

発行元のサイトから請求書等をダウンロードする場合

PDF形式でダウンロードできる場合は、それをダウンロードしてサーバ等に保存するか、そのサイト上で請求書等を保存しておきます。

HTML形式で表示される場合は、請求書等の形式にPDF変換できるのであればそれをダウンロードしてサーバ等に保存するか、そのサイト上で請求書等を保存しておきます。ただし、変換できないデータであればスクリーンショットによる画像を保存することも認められます。

第三者が管理するクラウドサービスを利用し領収書などを授受する場合

クラウドサービスに領収書などを保存するか、 クラウドサービスから領収書のPDFなどをダウンロードしてサーバ等に保存します。

従業員がスマートフォンのアプリを利用して経費を立て替えた場合

従業員のスマホに表示される領収書データを電子メールにより自社に送信させて保存しますが、スクリーンショットの画像データでも問題ありません。

電子データを保存する際のファイル名の付け方

電子データを保存する際のファイル名について、絶対的なルールはありませんが、国税庁は「電子帳簿保存法一問一答」において、ファイル名には「取引年月日」、「取引金額」、「取引先」を含め、検索しやすい統一した順序で入力することが望ましいとしています。

ファイル名の例
  • 取引年月日:2024年1月20日
  • 取引金額:125,000円
  • 取引先:ABC商事㈱

【ファイル名】
それぞれの項目を「_(アンダーバー)」でつなぎます。


20240120_125000_ABC商事


※㈱や㈲などの省略した文字は「機種依存文字」として文字化けする可能性がありますので、記載しないか、または「株式会社」「有限会社」と正しく表記するか、社内で統一するようにしてください。

索引簿を作成して管理する方法

「20240120_125000_ABC商事」のような数字・アンダーバー・漢字の混ざったファイル名を一つ一つ入力するのは結構手間のかかる作業となりますので、受領した請求書などの電子データファイルに「連番」を付与し、具体的な内容をエクセルなどの表計算ソフトで管理する方法を採用することも可能です。

索引簿の例
連番取引日付取引金額取引先備考
12024/01/0566,000A商店請求書
22024/01/1088,000B産業領収書
32024/01/1555,000C工務店領収書
4
5

なお、索引簿については、国税庁のホームページにエクセルのサンプルがありますので、参考にしてください。

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