電子帳簿保存法:「電子取引データの電子保存義務化」はどの程度厳密に適用されるのか?

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義務化が始まって4ヶ月が経ちました

電子帳簿保存法における「電子取引データの電子保存の義務化」が開始されてから4ヶ月が経過しましたが、皆様の職場での対応はいかがでしょうか?きちんと法律に従って対処できているでしょうか?

「完璧です!」と胸を張って答えられる方は多くないと思われますが、最近国税庁が各国税局に対してこの電子取引データの電子保存義務に係る税務調査での対応などを指示していることが明らかになりましたので、あやふやになりがちな部分を中心に紹介したいと思います。

令和6年1月1日以降に適用される「宥恕措置」の意味

令和5年12月31日で適用が終了した「宥恕措置」は、電子取引データを紙に出力して保存すればOKというものでしたが、令和6年1月1日以降に適用される新たな「宥恕措置」では、出力書面の保存だけでは要件を満たすことにはなりません。まずはここをしっかりと抑えておきましょう。

ではその宥恕措置ですが、以下のように規定されています。

令和6年1月1日以後に行う電子取引については、保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、税務署長が「相当の理由」があると認め、かつ、税務調査等の際にその電子データ及び出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存時に満たすべき要件にかかわらず電子データの保存をすることができる

この規定の前提条件として、「電子取引データ」は必ずPCやサーバに保存しなければなりません。本来電子データ取引の保存については守るべきルールがあるのですが、この宥恕措置が適用されると、それらの保存ルールが守られていなくても大丈夫ですよ、ということになります。

「相当の理由」のハードルは低い?

この宥恕措置を適用する際の要件の一つである「相当の理由」ですが、あらかじめ納税者が税務署長に「このような理由があります」などと申請する必要はありません。ただし、税務調査などで税務調査官が臨場した場合、あれこれと「相当の理由」を聞かれるのではないかと不安になると思います。

大丈夫です。ご安心ください。

税務調査官が、税務調査等において電子取引データを確認したり、必要なデータの提出に応じてもらえる状態であれば、「相当の理由」(本当は面倒くさくてやってなかったとしても)を確認されることはありません

ただし再度申し上げますが、ファイル名がバラバラだったり、データ検索ができなかったとしても、電子取引データがとりあえず保存されており、そのデータの確認や提出に応じられる状態にあることが大前提ですので、そこは誤解の無いようお願いいたします。

「電子データおよび出力画面の提示」は具体的にどうする?

税務調査等で電子取引データの提示を求められた場合、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか?

これについては、その都度データをプリントアウトして税務調査官に渡したり、ファイリングしておく必要は全く無く、普段業務で使用しているパソコンのディスプレイ画面などに表示して目視で確認できれば問題ありません

例えば、会社の会議室などで税務調査を受けているような場合では、iPadなどのタブレットに表示して確認してもらえば、わざわざ経理課の執務室などに立ち入ってもらう必要がなくなるので、僅かですが調査におけるリスク軽減にも繋がります。

「電子取引データ」の要件不備が見つかったら?

例えば接待交際費に係る電子請求書の保存要件が満たされずに処理されていた場合、厳密に言えば、国税関係帳簿書類としての保存書類にみなされないため、法人税や消費税法上の経費として認められないことになります。

このような場合、税務調査官はそれを厳しく指摘するのか見逃すのかが疑問でしたが、軽微な要件不適合に関しては深く追求せず、改善指導に留めるよう周知されているようです。

最後に

インボイス制度の解説でもたびたび話題にしましたが、インボイス制度も電子帳簿保存法の一部義務化についても、まずは制度の理解と定着を図ることを最優先にしているため、ちょっとした要件不備などについては指導に留め、重箱の隅をつつくような調査は行わないよう内部で周知徹底がなされているようです。

とはいえ、数年後には厳格化されると思われるので、今のうちにしっかりと対応できるようにしないといけませんね。

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