電子帳簿保存法:電子データを紙出力して保存すると青色申告が取消しに?

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「電子データ保存」に対応できないと

令和6年1月1日から義務化される「電子データ保存の義務化」について、ご相談いただくことが増えてまいりました。その中で皆さん気にされているのが、「電子データを紙出力して保存してたらやっぱりダメ?」という点です。

「青色申告が取り消されるの?」
「経費として認められなくなるの?」

このような心配をされている方が多いですが、実際のところどうなのでしょうか?

青色申告の要件

青色申告をするためには、備え付けるべき帳簿書類とその保存についての要件があります。

青色申告における記帳とは、正規の簿記のルールに従って会計ソフトや帳簿等に記入することですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。

これらの帳簿および書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。

5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがありますが、これらの書類が「電子データ」で収受された場合は、電子帳簿保存法のルールに従って保存しなければなりません

なお、青色申告することで得られるメリットの一つに青色申告特別控除がありますが、青色申告特別控除の中でも最も大きい65万円の控除を受けるためには、正規の簿記の原則に従って記帳した上で、電子申告(e-Tax)により申告を行うか、優良な電子帳簿の要件を満たしていなければなりませんが、ここで言うところの電子帳簿の要件と、「電子データ保存義務」とは意味合いが異なるので注意してください。

「電子データ保存」すべきデータを書面で保存していたら

令和6年1月1日以降は、それまでに認められていた「電子データを書面に出力して保存する」取扱いが廃止されます。つまり、青色申告の要件を満たすために必要な書類が電子データとして取得された場合において、電子帳簿保存法に従って「電子データ」として保存されず、従来通りの紙面により保存されていると、その電子データと紙出力した書類の同一性が担保されないため、電子帳簿保存法でいうところの「国税関係書類以外の書類」とみなされないことになります。

「国税関係書類以外の書類」とは、国税関係書類に該当しないという意味ではなく、過去の関連記事にあるように、国税関係書類に準ずる書類、いわゆる「電子取引データ」を指しています。「国税関係帳簿」や「国税関係書類」は所得税法等で保存が義務付けられたものですが、「電子取引データ」の保存は電子帳簿保存法において定められたものなので、このような表現になっています。

このように、「電子取引データ」は「国税関係書類以外の書類」とみなされることから、電子帳簿保存法の要件に従って保存された場合に限り、所得税法等における帳簿等の保存要件を満たすことになります。ただし、裏を返せば、電子帳簿保存法の要件を満たしていない「電子取引データ」の保存(=紙に出力して保存)は、「国税関係書類以外の書類」とみなされないので、青色申告の取り消しの対象となります

実務の現場では

原則としては、電子取引データの保存義務を無視して従来通りの紙ファイルで保存を続けると、青色申告の取消対象となるのですが、じゃあ一発アウトで取り消されるかというと、そんな事はありません。

青色申告の承認の取消しについては、違反内容だけでなく、申告内容および納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報などを総合的に勘案して判断されます

また、青色申告の取消しというかなり重要な問題については、税務署内における事務運営指針にもその判断基準が記されています。

青色申告の承認の取消しについては、保存時に満たすべき要件の違反があったことをもって直ちに必ず行われるものではなく、「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づき、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上で行うこととしています。

このように、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合でも、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、経費計上が認められないといったことはありません。

ただし、税務調査において青色申告の取消しなどがなかったとしても、電子帳簿保存法に基づく電子データ保存を今後しっかり行うように指摘を受けることは間違いないでしょうね。

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