電子帳簿保存法:電子領収書と収入印紙

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領収書と収入印紙

高額な商品を購入した際、領収書の隅っこに切手のようなものが貼られていますが、これが収入印紙です。今更何をと思われるかもしれませんが、電子帳簿保存法における電子データ保存が義務化される前に、今一度領収書と収入印紙の関係についておさらいしておきたいと思います。

普段あまり意識することはありませんが、領収書に収入印紙を貼るという行為は、「納税する」ということを意味します。納税するということは、何に対して課税されているのかを知っておかなければなりませんが、これは「文書」に対してです。この印紙税が課税される文書のことを「課税文書」といいますが、なんと20もの種類に分かれています。

領収書は、「第17号文書・金銭または有価証券の受取書」に該当し、受取金額ごとの印紙税額は以下の通りです。

受取金額印紙税額
5万円未満非課税
5万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1千万円以下2,000円
1千万円超 2千万円以下4,000円
2千万円超 3千万円以下6,000円
3千万円超 5千万円以下10,000円
5千万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円
受取金額の記載のないもの200円

金額の判定については、原則として税込金額で判断しますが、領収書に消費税相当額が明示してあれば、税抜金額で判定します。

「電子領収書」に収入印紙は必要?

電子帳簿保存法における電子データ保存が義務化されるに当たり、紙の領収書がPDFによる電子メール送信に替わったり、特定のサイトやシステムからデータとしてダウンロードすることが増えてきました。この場合における「電子領収書」に収入印紙は必要なのでしょうか?

結論から言うと、電子領収書に収入印紙は必要ありません

印紙税法第3条には、「印紙税は、課税文書を作成した者に課する」とあります。「作成」とは、印紙税法基本通達第44条に以下のように規定されています。

印紙税法基本通達第44条(作成等の意義)

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。  

「用紙等」に課税事項を記載し、とあることから、紙を使用しない電子領収書は印紙税の課税対象にはならないと解釈できます。

ちなみに、電子データで送信された電子領収書を保管のために紙に印刷した場合でも、印紙税はかかりません。またFAXで送られた領収書も印紙税は課税されません。

ただし、電子領収書を紙で出力し、社印などを押印して相手方に送ると、これは課税文書の作成に当たりますので、印紙税の課税対象になります。

最後に

業者さんが直接出入りする店舗や現場作業の多い工事業などでは今でも現金で領収するケースが多いですが、最近ではその場で領収書を作成し、相手方に送信することのできるスマホアプリなどもありますので、わずかとはいえ無駄な印紙税を払うのをやめて、併せて電子データ保存の義務化にもスムーズに対応できるよう業務の見直しをしてみてくださいね。

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