インボイス制度:令和6年度からインボイス登録を取りやめたい個人事業主は「令和5年12月17日まで」に取消届の提出が必要

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インボイス制度開始からまる2ヶ月

インボイス制度が開始されてから2ヶ月が経過しましたが、「インボイス登録を取り消したい」という趣旨のご相談が日を追って増えてまいりました。

ご相談内容は、主に個人事業主の方で、周りに流されるようにインボイス登録をしたものの、実際にはインボイスを要求される取引先もごく僅かで、わざわざ消費税を納めてまでその取引先との関係を継続しなくてもやっていけるのではないか?といったものがほとんどでした。

インボイス制度が開始され、世間での対応や現場の反応などを冷静になって考える余裕ができたこともあるのでしょうが、ご自身のお仕事にインボイス登録が必要ないと改めて理解されたのだと思います。

令和6年1月1日から免税事業者に戻るためには

消費税の届出関係の提出期限は、新たに適用を受けたり取りやめたりする年の前年末であることが多いですが、インボイス登録を取りやめるための届出書の提出期限はこれらと異なり、「次の課税期間の初日から起算して15日前の日」となっています。

つまり、個人事業主や12月決算の法人が消費税納税という被害を最短で食い止めて、令和6年1月1日から元の免税事業者に戻りたいと考えている場合は、令和5年12月17日までに「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を税務署に提出しなければなりません。

ここで注意したいのが曜日です。令和5年12月17日は日曜日になりますので、全国の税務署は閉庁しています。そのため、税務署に書面で直接提出する場合には、令和5年12月15日(金)までに受け付けてもらう必要があります。なお、各税務署には時間外に提出物を投函することができる時間外収受箱というものがありますが、12月16日(土)・12月17日(日)に投函することで、12月17日までに提出されたものとして取り扱われます(注1)。

郵送する場合は、令和5年12月17日(日)の通信日付のあるものが有効ですが、時間外でも受け付けてくれる郵便局のゆうゆう窓口で郵便・信書便などを利用すると良いかもしれません。なお、e-Taxが可能な方は、土日でも24時まで対応していますので、こちらの方が確実だと思います。

(注1)令和5年12月6日上京税務署にて確認しましたが、念のため所轄の税務署にてご確認ください。
(注2)提出について、国税庁のホームページでは「納税地を管轄する『インボイス登録センター』へ送付してください」とある一方、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の裏面記載要領には「届出者の納税地を所轄する税務署長に提出」とあります。注1と同様に確認したところ、どちらに郵送しても良いとのことでしたが、これについても念のため所轄の税務署にてご確認ください。

インボイス登録を取りやめた後は

インボイス登録の取りやめが完了した後は、関係取引先にその旨を忘れないように通知してください。そうしないと取引先はその後もインボイス登録があるものとして経理処理を行ってしまう可能性があるため、税務調査等でさらに大きな問題に発展してしまい、取引関係が大きく悪化する可能性があります。

またインボイスが発行されない場合の経過措置が80%から50%へと縮小される際には、流石に収支に与える影響が無視できなくなるため、再度インボイス登録の要請が強まるかもしれません。

いずれにしても、1~2年で細かな改正などを行いながら制度そのものが落ち着いてくると思いますので、そのときに改めてインボイス登録を再考すると良いと思います。

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