確定申告に係る「所得控除」の適用漏れとうっかりミス

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確定申告が近づいてまいりました

確定申告が近づいてまいりました。あと3ヶ月半ですが油断してはいけません。あっという間に奴らはやってきます。税理士としては悪魔に魂を売り渡してでも早く過ぎ去ってほしい時期となります。。

というのは言いすぎですが、今年の確定申告は「インボイス制度」の影響を受ける最初の年度となります。これまで消費税の確定申告をしたことがない方にとっては、普通に申告するだけでも大変なのに、年の途中から課税事業者になるというとんでもない状況を迎えることになります。

そんな中、年末調整や確定申告においてうっかりミスや適用忘れを起こしがちな「所得控除」について、今一度確認しておきたいと思います。なお、今回は注意喚起のための記事なので、制度の詳細については割愛します。

雑損控除

あってほしくないですが、台風などの災害や、空き巣などの盗難、事務員さんの横領などが起こった場合に、一定の金額を所得金額から控除することができる制度です。対象となる資産は居住用の家屋や家財、現金などで、別荘や時価30万円を超える高額な宝飾品などは対象となりません。また、詐欺による損害などは対象とならないので注意してください。

要介護認定と障害者控除

障害者控除の対象となる方は、法律により詳細に規定されていますが、「介護保険法の要介護認定」を受けた方については、障害者控除の対象となりません

ただし、介護保険法の要介護認定の有無に関わらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合は、障害者控除の対象となります

ちなみに京都市であれば、保健福祉センター健康長寿推進課に問い合わせて申請することで「障害者控除対象者認定書」を取得すると、障害者控除を受けることができます。

死別と配偶者控除・扶養控除

青色申告をしている場合の「青色事業専従者給与」の支払いを受けている配偶者や扶養親族、白色申告をしている場合の「事業専従者控除」を受けている配偶者や扶養親族は、所得要件を満たしていても、配偶者控除や扶養控除を受けることができません

特に白色申告における事業専従者控除は、実際に給与の支払をしているかどうかは要件になっていないので、うっかり重複して適用しないよう注意してください。

また特に注意していただきたいのが、年の途中で配偶者と死別された場合です。本来これらの控除はその年の12月31日の現況により判定するのですが、年の途中で死別された場合には、その死亡時の現況により判定することになりますので、その時点で要件を満たしていれば、配偶者控除の適用を受けることができます

更に配偶者が死別された時点でお子様がおられた場合、その年の12月31日時点でひとり親控除の要件を満たしていれば、配偶者控除とひとり親控除の両方の適用を受けることができます

次に扶養控除ですが、年の途中で「結婚」や「就職」などの理由で扶養控除の要件を満たさなくなった場合は、その年において扶養控除の適用を受けることはできません。ただし、「死別」の場合は、その時点で扶養控除の要件を満たしていれば、その年において扶養控除の適用を受けることができます

勤労学生控除

アルバイトで学費などを稼ぎながら大学に通われている学生さんをイメージしていただいたらわかりやすいですが、アルバイト収入が130万円以下で、大学や高校、専門学校などに通われている場合は、勤労学生控除を受けることができます

ただし、アルバイト収入が103万年を超えると、その学生さんの親御さんの確定申告において、扶養控除が使えなくなってしまいます。一般的には親の所得のほうが大きい(つまり所得税率が高い)ので、親の扶養控除を優先するほうが世帯全体での税負担は少なくなるケースが多いと思います。

その他の控除については?

その他の控除については、過去の記事をご参照いただけると幸いです。

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