こどもNISAと贈与税・名義預金の注意点|制度概要から税務調査対策まで解説

目次

こどもNISA(未成年者特定累積投資勘定)とは?制度の概要

この章のポイント
  • こどもNISAは、令和8年度税制改正により創設された未成年者向けの新しいNISA制度
  • 正式名称は「未成年者特定累積投資勘定」で、2027年1月の開始が予定されている
  • つみたて投資枠に限定し、年間60万円・非課税保有限度額600万円という設計
  • 12歳以降、子の同意がある場合に限り引き出しが可能

2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」に、未成年者もNISAのつみたて投資枠を利用できる新制度の創設が盛り込まれました。報道などでは「こどもNISA」と呼ばれていますが、税制改正大綱上の正式名称は「未成年者特定累積投資勘定」です。この内容を含む税制改正関連法(所得税法等の一部を改正する法律)は2026年3月31日に国会で成立・公布されており、制度の骨格は確定しています。施行は2027年1月の予定です

対象年齢と口座開設の仕組み

こどもNISAの対象となるのは、0歳から17歳の未成年者です。現行の新NISAは18歳以上が対象ですが、この年齢制限を撤廃する形で、未成年者にもつみたて投資枠が開放されます。

口座は子ども本人の名義で開設しますが、実際の手続きは親権者が代行する仕組みです。なお、こどもNISAを利用している間は、成長投資枠(個別株式などを購入できる枠)を同時に設けることはできないとされています。

年間投資枠・非課税保有限度額・対象商品

こどもNISAの年間投資枠は60万円で、成人のつみたて投資枠(年間120万円)の半分に設定されています。非課税で保有できる限度額は600万円、非課税保有期間は現行NISAと同じく無期限です

投資できる商品は、つみたて投資枠の対象となる公募株式投資信託等に限定されます。個別株式などの成長投資枠対象商品はこどもNISAでは利用できません。

引き出し条件と18歳到達時の移行ルール

こどもNISA口座の資産は、原則として自由に引き出すことはできません。ただし、子どもが12歳に達した後は、子ども本人の同意を得たうえで、親権者が引き出しの手続きを行うことが可能とされています。

なお、子ども本人の同意を確認する具体的な方法(書面の様式やオンライン対応の可否など)は、今後の政省令や金融機関の実務で定められる予定です。

子どもが18歳に達した時点では、こどもNISA口座で保有していた資産は自動的に成人向けのNISA口座(つみたて投資枠)に移行します。売却や買い直しの手続きは不要で、そのまま運用を続けることができます。

旧ジュニアNISAとの違い──何が変わったのか

この章のポイント
  • 旧ジュニアNISAは引き出し制限の厳しさから利用が伸びず、2023年末で廃止された
  • こどもNISAでは引き出し年齢が18歳から12歳に緩和され、非課税期間も無期限に
  • 教育資金一括贈与の非課税特例が2026年3月末で終了し、こどもNISAがその受け皿となる

こどもNISAは、かつて存在した「ジュニアNISA」の単純な復活ではありません。旧制度の課題を踏まえて、より使いやすい形に再設計された制度です。ここでは両者の違いと、関連する教育資金贈与特例との関係を整理します。

引き出し制限の緩和(18歳→12歳)

旧ジュニアNISAの最大の課題は、原則として18歳まで資産を引き出せない点にありました。途中で払い出した場合は、過去の運用益にさかのぼって課税されるという厳しいルールが設けられており、中学受験や高校入学など18歳より前に教育資金が必要になる場面では使いにくい制度でした。

こどもNISAでは、この引き出し制限が大幅に緩和されます。子どもが12歳に達した以降であれば、子ども本人の同意と所定の書面提出を条件に、親権者が払い出しを行えるようになります。中学校入学や高校進学のタイミングで資金を活用できるため、教育資金としての実用性が格段に高まっています。

非課税期間の無期限化と投資枠の変更

旧ジュニアNISAの非課税期間は原則5年間で、延長にはロールオーバーの手続きが必要でした。手続きが煩雑なうえ、長期の資産形成には不向きな設計だったといえます。

こどもNISAでは、現行の新NISAと同じく非課税保有期間が無期限とされています。0歳から積み立てを始めれば、18歳まで最長18年間にわたって非課税で運用を続けることが可能です。

一方、年間投資枠は旧ジュニアNISAの80万円から60万円に減額されています。また、対象商品もつみたて投資枠の対象商品に限定され、個別株式などは購入できません。これは長期・積立・分散投資という制度趣旨に沿った設計です。

主な変更点を表にまとめると、次のとおりです。

項目旧ジュニアNISAこどもNISA
年間投資枠80万円60万円
非課税保有限度額400万円(80万円×5年)600万円
非課税期間原則5年無期限
引き出し18歳まで原則不可12歳以降・子の同意で可
対象商品上場株式・投信等つみたて投資枠対象の投信等
18歳到達時ロールオーバー手続き要成人NISAへ自動移行

教育資金一括贈与の特例廃止との関係

こどもNISAの創設と時期を同じくして、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」(措法70条の2の2)が2026年3月31日をもって終了することが、令和8年度税制改正で確定しています。

この特例は、祖父母や父母が子・孫に対して教育資金を一括して贈与する場合に、1人あたり最大1,500万円まで贈与税を非課税とする制度でした。しかし、主に富裕層の資産移転手段として利用されていた点や、信託銀行を通じた手続きの煩雑さなどが課題とされ、延長されない方針が示されています。

つまり、「まとまった金額を一括で渡す制度」は終了し、「毎年少額ずつ積み立てる制度」であるこどもNISAに、教育資金準備の政策的な軸足が移ることになります。ただし、教育資金一括贈与の特例が2026年3月末で終了し、こどもNISAの開始が2027年1月予定であるため、2026年4月〜12月の間は「どちらの制度も使えない期間」が生じる点には注意が必要です。

こどもNISAと贈与税の関係──110万円の非課税枠とのつき合い方

この章のポイント
  • こどもNISAの「非課税」は運用益に対するものであり、拠出そのものは贈与税のルールに従う
  • 年間60万円の拠出であれば、暦年贈与の基礎控除110万円の範囲内に収まる
  • 祖父母など複数人から贈与を受ける場合は、合計額が110万円を超えないよう注意が必要
  • 定期贈与と認定されないための工夫も押さえておきたい

こどもNISAの「非課税」という言葉を聞くと、「贈与税もかからないのでは」と思われがちですが、これは誤解です。こどもNISAで非課税になるのはあくまで運用益(配当・譲渡益)に対する所得税・住民税であり、親や祖父母が子ども名義の口座にお金を入れる行為は、贈与税の一般的なルールに従います。ここでは、拠出時の贈与税の取扱いを整理します。

親・祖父母からの拠出は「贈与」にあたるのか

親や祖父母が自分のお金を子ども名義のこどもNISA口座に入金する場合、原則として子どもへの「贈与」に該当します。国税庁のNISAに関するQ&Aでも、NISA口座への入金について特別な贈与税の非課税規定は設けられていません

ここで注意したいのが、「教育費として渡すお金なら贈与税はかからないのでは?」という点です。確かに、扶養義務者(親など)が子どもの教育費や生活費を「必要な都度」直接支払う場合は、贈与税の対象にはなりません(相続税法21条の3第1項第2号)。

しかし、こどもNISA口座への拠出は「将来の教育資金を投資で準備する」という資産形成行為であり、「現に必要な教育費をその都度支払う」ものとは性質が異なります。国税庁のタックスアンサー(No.4405)でも、教育費として受け取ったお金を預金や投資に回した場合は贈与税の課税対象になると明記されています。

年間60万円の拠出と暦年贈与の基礎控除

贈与税には暦年課税の基礎控除があり、1年間(1月1日〜12月31日)に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

こどもNISAの年間投資枠は60万円ですから、その年に子どもが受ける贈与がこどもNISAへの拠出60万円だけであれば、基礎控除の範囲内に収まり、贈与税の申告も不要です。

定期贈与(連年贈与)と認定されないための注意点

「毎年60万円なら110万円以下だから問題ない」と単純に考えてしまいがちですが、もうひとつ気をつけたいのが「定期贈与」の問題です。

定期贈与とは、あらかじめ「10年間にわたって毎年60万円を贈与する」といった約束をしている場合に、各年の贈与ではなく「合計600万円の贈与を分割で受けている」と評価される考え方です。このように認定されると、贈与の合計額に対して贈与税が課される可能性があります。

ただし、国税庁のタックスアンサー(No.4402関連)では、毎年110万円以下の贈与を受けること自体を直ちに否定してはいません。各年ごとに贈与の意思表示と受諾が独立して行われ、長期にわたる定期的な給付義務を負う契約がなければ、通常の暦年贈与として取り扱われる方向が示されています。

実務上は、「将来○年分を必ず贈与する」という包括的な取り決めを避け、毎年その都度の判断として贈与を行うことが大切です。

【実務のポイント】贈与契約書は毎年作成しておくのが無難

「110万円以下なら契約書は不要」と思われがちですが、贈与の事実を証拠として残しておくことは、後々の税務調査対策として非常に重要です。とくにこどもNISAのように毎年定額を拠出するケースでは、定期贈与との区別を明確にするためにも、年ごとに贈与契約書を作成しておくのが無難です。

契約書には「贈与者」「受贈者」「贈与の日付」「金額」「贈与の目的(例:教育資金準備のため)」を記載し、双方が署名します。子どもが幼い場合は親権者が法定代理人として署名することになりますが、それでも書面に残しておくことで、各年の贈与が独立した行為であることを示す証拠になります。

なお、「親が自分の子どもに贈与しつつ、親権者として子どもの代わりに受け取りの意思表示をする」ことに法律上の問題はないかと心配される方もいますが、負担のない通常の贈与は子どもに一方的に有利な行為であり、民法上の利益相反行為には該当しません。親権者が法定代理人として贈与契約書に署名し、受贈の意思表示を行うことで、贈与は有効に成立します。

また、振込で記録を残すことも大切です。現金の手渡しでは、贈与の時期や金額を客観的に証明することが難しくなります。

※ 贈与税の基礎控除110万円は「受贈者(もらう側)」単位で判定されます。祖父母・親など複数人からこどもNISA以外の贈与も含めて受けている場合は、その年の合計額が110万円を超えないよう注意してください。

こどもNISAと名義預金──相続時に否認されないために

この章のポイント
  • 名義預金とは、口座の名義人と実質的な所有者が異なる預貯金や資産のこと
  • こどもNISA口座も、管理実態や贈与の事実によっては名義預金と認定されるリスクがある
  • 名義預金と判断されると、相続発生時に被相続人の財産として相続税の課税対象になる

こどもNISAは子ども名義の口座で運用する制度ですが、「子どもの名義だから子どもの財産」と自動的に認められるわけではありません。実質的な所有者が親や祖父母と判断されれば、いわゆる「名義預金(名義資産)」として相続税の課税対象になるおそれがあります。ここでは、名義預金の基本的な考え方と、こどもNISA口座で注意すべきポイントを整理します。

名義預金(名義資産)とは何か

名義預金とは、口座の名義人と実質的な資金の所有者が異なる預貯金をいいます。たとえば、祖父が孫の名前で口座を作り、祖父自身のお金を入金して通帳や印鑑も祖父が管理している場合、形式上は孫名義でも実質的には祖父の財産とみなされます。

国税庁は、名義にかかわらず真の所有者を基準に課税する立場を明示しています。税務調査では、被相続人以外の名義の預貯金であっても、資金の出どころや管理状況から被相続人の財産と認定されるケースが少なくありません。

名義預金と認定されると、その残高は被相続人の相続財産に加算されて相続税が課税されます。「生前に子どもに贈与したつもりだった」という主張が通らず、想定外の相続税負担が発生するリスクがあるのです。

こどもNISA口座が名義預金と認定される要件

こどもNISA口座が名義預金と判断されるかどうかは、一般的な名義預金の認定基準に照らして総合的に判断されます。実務上、とくに重視されるのは次のような要素です。

資金の出所: 口座への入金がすべて親や祖父母の資金であり、子ども自身の収入やお小遣い等が含まれていない場合、資金の出所は親(祖父母)にあると判断されやすくなります。ただし、こどもNISAの場合は親や祖父母からの贈与資金で拠出するのが通常ですから、資金の出所だけで名義預金とされるわけではありません

贈与の成立: 贈与とは「あげます」「もらいます」という双方の意思表示で成立する契約です。贈与契約書が存在せず、子どもに贈与の認識もないまま親が一方的に入金しているだけであれば、「贈与が成立していない=親の財産のまま」と評価される可能性があります。

口座管理の実態: 口座の存在や運用内容を子どもがまったく知らず、通帳やログイン情報の管理も親がすべて行っている場合、実質的に親の管理下にある資産と見なされるリスクが高まります。

引き出しの実績: 子どもが一度も口座から資産を引き出したことがなく、事実上、資金を自由に使える状態になかった場合も、名義預金の認定を補強する要素となり得ます。

これらの事情を総合的に勘案して判断されるため、「ひとつでも該当すれば即名義預金」というわけではありませんが、複数の要素が重なるほどリスクは高くなります。

なお、子どもが18歳に達すると、こどもNISA口座の資産は成人向けNISA口座に自動移行します。この移行は同一人名義の口座内での勘定振替にあたるため、移行時点で新たな贈与税が発生することはありません。ポイントは、18歳の移行時ではなく「毎年の拠出時点で贈与が有効に成立しているかどうか」です。拠出のたびに贈与の実態が整っていれば、移行後も子どもの財産として扱われます。逆に、拠出時の贈与が成立しておらず名義預金と判断される場合は、18歳移行の有無にかかわらず、相続発生時に親(祖父母)の財産として課税対象になる構図です。

【実務のポイント】口座の存在を子どもに伝えておくことの意味

こどもNISAは子どもが幼いうちに親が口座を開設し、運用を代行する仕組みです。そのため、口座の存在を子どもが長年知らないまま、という状況が起こりやすくなります。

しかし、名義預金と認定されないためには、「子どもが口座の存在と目的を認識していること」が重要な要素になります。子どもの年齢に応じて、「教育資金のために積み立てている口座がある」ということを伝えておくだけでも、贈与の実態を示す材料になります。

もちろん、0歳や1歳の子どもに説明することはできませんが、小学校に入る頃には「将来のためのお金を積み立てている」と話す機会を持つとよいでしょう。12歳以降は払い出しに子ども本人の同意が必要になりますので、そのタイミングでは自然と口座の存在を共有することになります。

大切なのは、「親が勝手に名義を使っているだけ」ではなく、「子どものための資産として管理し、子ども自身もそれを認識している」という状態を作っておくことです。個別の事情によって結論が異なるケースもありますので、心配な場合は税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

税務調査で指摘されやすいポイントと対策

この章のポイント
  • 名義預金は相続税の税務調査で最も指摘されやすい論点のひとつ
  • こどもNISA口座でも「贈与の実態がない」と判断されれば否認される可能性がある
  • 日頃から記録を残し、贈与の独立性と管理実態を整えておくことが重要

こどもNISAは子どもの名義で開設する口座ですが、それだけで「子どもの財産」と認められるわけではないことは、前章でお伝えしたとおりです。ここでは、税務調査の現場で実際に問題になりやすいパターンと、否認されないための具体的な対策を整理します。なお、このセクションの内容は制度解説ではなく、実務経験に基づく視点を中心にまとめたものです。

「名義預金」として否認されやすい3つのパターン

税務調査で名義預金と指摘されやすいケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。こどもNISAに当てはめると、以下のような状況が問題になりやすいと考えられます。

パターン1:贈与契約書がなく、口頭のやりとりもない

毎年60万円をこどもNISA口座に入金しているものの、贈与契約書を一度も作成しておらず、「あげた・もらった」というやりとりの記録もないケースです。税務調査では「贈与が成立していたことを示す証拠がない」と判断され、名義預金と認定されるリスクが高まります。実務の現場では、「契約書がないから贈与はなかった」とまでは断定されませんが、他の要素と合わせて総合的に判断されるため、契約書の不存在は不利な材料になりやすいです。

パターン2:子どもが口座の存在を知らない

親や祖父母が子どもに一切知らせずに口座を開設・運用しており、子どもが口座の存在自体を認識していないケースです。贈与は「あげます」「もらいます」の合意で成立する契約ですから、受け取る側に認識がなければ贈与の成立自体が疑われます。とくに、被相続人(祖父母など)の相続が発生した際に、相続人調査の過程で孫名義のNISA口座が見つかり、「孫は口座のことを知りませんでした」となれば、名義預金と判断される可能性は高くなります。

パターン3:実質的な管理が親(祖父母)のまま

口座のログイン情報や取引報告書を親がすべて管理し、投資商品の選択や売却判断もすべて親が行っている場合、口座の管理実態が親にあると見なされるおそれがあります。こどもNISAは制度上、親権者が運用を代行する仕組みですので、ある程度の親による管理は制度に織り込まれています。しかし、子どもが12歳を過ぎてもまったく関与しておらず、資産の帰属先が曖昧なままであれば、名義預金のリスクは残ります。

贈与の実態を示すために残しておくべき記録

名義預金と認定されないためには、「贈与が各年ごとに独立して成立していること」と「子どもの財産として管理されていること」を客観的に示す記録を残しておくことが重要です。

実務上、とくに有効とされるのは以下のような記録です。

毎年の贈与契約書: 各年ごとに作成し、贈与者・受贈者(幼少期は親権者が法定代理人として署名)・日付・金額・目的を記載します。翌年以降の贈与を約束する文言は入れず、その年限りの独立した契約として作成するのがポイントです。

振込記録: 親(祖父母)の口座から子どもの口座への振込履歴は、贈与の時期と金額を客観的に証明する材料になります。現金の手渡しでは記録が残らないため、必ず振込で行うことをおすすめします。

口座の存在を子どもに伝えた記録: 子どもの年齢に応じて、口座の存在や目的を伝えた事実を残しておくと有効です。たとえば、家族の話し合いのメモや、子どもが一定年齢に達した際に残高を確認させた記録などが考えられます。形式にこだわる必要はありませんが、「伝えた事実」が後から確認できることが大切です。

相続発生時に慌てないための生前の準備

名義預金の問題は、多くの場合、相続が発生してから初めて表面化します。生前のうちに以下の点を整理しておくと、相続発生時に慌てずに済みます。

まず、贈与契約書や振込記録を年度ごとにまとめて保管しておくことです。相続税の申告時に税理士へスムーズに引き継ぐことができ、税務調査で求められた際にも速やかに提示できます。

次に、こどもNISA口座だけでなく、子ども名義の預貯金口座がほかにもある場合は、それぞれの資金の出所と贈与の経緯を整理しておくことも重要です。税務調査では、こどもNISA口座だけを単独で見るのではなく、子ども名義の金融資産全体を横断的にチェックされることがあります。

最後に、こうした記録の整理や贈与の方法について判断に迷う場合は、税理士などの専門家に早めに相談されることをおすすめします。名義預金の認定は個別の事実関係によって結論が変わるため、一般論だけでは対応しきれないケースもあります。

まとめ──制度開始前に押さえておきたいこと

こどもNISA(未成年者特定累積投資勘定)は、旧ジュニアNISAの課題を踏まえて再設計された、未成年者向けの新しい非課税投資制度です。年間60万円・非課税保有限度額600万円という枠組みで、つみたて投資枠の対象商品に限定した長期・積立・分散投資を通じて、子どもの教育資金を準備できる仕組みになっています。

制度を活用するうえで忘れてはならないのが、贈与税と名義預金に関する正しい理解です。こどもNISAの「非課税」は運用益に対するものであり、親や祖父母からの拠出は通常の贈与税ルールに従います。年間60万円の拠出であれば暦年贈与の基礎控除110万円の範囲内に収まりますが、定期贈与と認定されないための工夫や、名義預金と判断されないための管理実態の整備は、制度開始前から意識しておきたいポイントです。

とくに大切なのは、毎年の贈与契約書の作成、振込による記録の保全、そして子ども自身への口座の存在の共有です。これらは特別な手間がかかるものではありませんが、将来の税務調査で問われたときに大きな差を生む準備です。

こどもNISAを含む令和8年度税制改正関連法は2026年3月31日に成立・公布済みであり、制度の骨格は確定しています。施行は2027年1月の予定です。口座開設手続きや払い出し時の同意確認方法など、具体的な運用ルールは今後の政省令や金融機関の実務で順次明らかになりますので、最新情報を確認しながら準備を進めていきましょう。

制度の活用方法や贈与・名義預金の対策について個別に判断が必要な場合は、お気軽に税理士などの専門家にご相談ください。

参考資料

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)
  • 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」(2025年12月26日公表)
  • 所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号、2026年3月31日成立・公布)
  • 相続税法第21条の3(贈与税の非課税財産)
  • 相続税法第21条の5(贈与税の基礎控除)
  • 租税特別措置法第70条の2の2(教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税)
  • 国税庁タックスアンサー No.4405「贈与税がかからない場合」
  • 国税庁タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」
  • 国税庁「相続税の申告のためのチェックシート」(名義預金関連の事例)

この記事を書いた人

京都市北区で「世良税理士事務所」を運営しています。
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