電子帳簿保存法:ECサイト上で確認できれば領収書等のダウンロードが不要に

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いよいよ「電子データ保存」の義務化が開始されます。

この記事を書いているのは令和5年12月25日ですが、なんと1週間後には「電子データ保存」の義務化が始まってしまいます。様々な媒体で取り上げられているためなんとなく意識されている方も多いと思いますが、いざ始まるとなると何をどうして良いかお手上げだ、という方がほとんどでしょう。

私自身にも当てはまるのですが、仕事で使う消耗品や書籍などはアマゾンなどのECサイトで購入するため、実店舗で現金購入することはほぼなくなりましたし、各種サービスもサブスクリプション契約になったり、仕入先のサイトにアクセスして請求書をダウンロードするなど、従来紙資料だったものがものすごい勢いで電子データに置き換わってきています。

このような環境下ですべての電子データを定められたルールに従ってデータ保存することは、中小企業や個人事業主にとっては相当ハードルが高く、下手をすると「こんな事やってられるか!」とすべてを投げ出してしまうことになりかねません。

そんな中、取引量が多くなると予想されるECサイトでの物品購入等に対し、領収書等の電子データを「条件付きで」ダウンロード・保存しなくても良いとする見解が示されました。

ECサイト等における電子データ保存

原則

取引ごとに領収書等の電子データをダウンロードし、検索要件など所定の要件を満たした上で保存

特例

ECサイトを利用し商品等を購入した場合、以下の条件を満たせば、電子データをその都度ダウンロードして保存しなくてもよいことになりました(経費計上や消費税の仕入税額控除などにも影響はありません)。

  1. 購入情報を管理するページから領収書等をいつでも閲覧・ダウンロードできる状態であること
  2. ECサイト側において「検索要件」を満たしていること
  3. 税法で定める保存期間(原則7年間)中は確認できる状態であること
    (保存期間が満了するまでにECサイト上からデータが削除されるなど確認ができなくなる場合は、その分はダウンロードして保存が必要)

一見ややこしそうですが、大抵のECサイトであれば、1と2の要件は当たり前に満たしていると思います。問題は3の保存期間ですが、これは利用するサイトによって「3年間」とか「全取引期間」とかまちまちなので、ご利用のECサイトの規約などで確認しておく必要がありそうです。

ECサイトにおける「検索要件」が不要になる場合

2期前(個人事業主であれば2年前)の売上高が5,000万円以下の小規模な事業者であれば、そもそも「検索機能の確保」は不要なので、ECサイト側における「検索要件」も不要になります。

また、電子データを出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている場合(従来の紙面での保存方法)でも。ECサイト側での検索要件は不要です。

さらに税務署長が相当の理由があると認め、税務調査で電子データ及び出力書面の提示等をすることができる場合はすべての要件が不要になる猶予措置がありますので、これでもECサイト側での検索要件が不要になります。

これらの要件の詳細につきましては、過去の関連記事を参照してください。

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