インボイス制度:コンビニが発行するレシートにインボイス番号がない?

目次

コンビニが発行するレシート

皆さんがコンビニを利用した際に受け取るレシートは、簡易インボイス(適格簡易請求書)とよばれるもので、通常のインボイスに比べ、記載事項の一部が簡略化されたものになっています。もちろん「簡易」インボイスであっても通常のインボイスと同様の効力を発揮しますので、改めて通常のインボイスを貰い直したりする必要はありません。

なお、簡易インボイスの要件などについては、過去の記事を参考にしてください。

このコンビニが発行する簡易インボイスですが、概ね以下のような書式になっていると思います。

上記レシートは店名やインボイス番号、異なる税率ごとの記載など、簡易インボイスの要件はすべて満たしているので、法人税や所得税における経費の計上、消費税における仕入税額控除のいずれも問題なく行うことができます。
(おにぎりが経費になるかどうかについてはスルーしてくださいませ)

この誰もがよく見かけるコンビニのレシートですが、稀にインボイス番号(登録番号)の記載のないものがあるのをご存知でしょうか?

例に上げたローソンを始め、セブンイレブンやファミリーマートなど超大手のコンビニが発行するレシートなので、当たり前にインボイス登録を行っているだろうと思われる方も多いと思いますが、実は全国に展開するこれら大手コンビニの各店舗の殆どは、地元の法人や個人が経営するFC(フランチャイズ)加盟店なんですね。したがってFC加盟店として経営されている法人や個人事業主の中には、インボイスの登録申請をされていないものも当然ある訳です。

ちなみに、記載されている登録番号を国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトで検索することで、その加盟店を経営している事業者名を知ることができます。

コンビニの主な顧客層は一般消費者であり、店舗展開している地域や事業規模によっては、インボイス登録をする必要がありませんし、フランチャイザー(本部)も各フランチャイジー(加盟店)に対してインボイス登録を強要することはできませんので、結果、インボイス番号のないレシートが発行される場合があるということになります。

コンビニ各店舗がインボイスを発行しない事例は?

インボイス登録がなされているコンビニにおいて、商品を購入したり、備え付けてあるコピー機でプリントやスキャンなどを行った場合には、その店舗が直接行うサービスなので、当然インボイス番号が記載された簡易インボイスが発行されます。

一方、公共料金やインターネット等の収納代行サービス、コンサート等のチケット発券受付、宅急便などの配送サービス等については、コンビニが直接サービスを提供しているのではなく、電話会社や宅配業者など外部のサービス事業者が行っているものであるため、コンビニ側で簡易インボイスは発行されません

この場合においてコンビニが発行するのは下記のような代金受領に関するレシートであって、提供を受けたサービスに対する正式なインボイスではないため、インボイスが必要な場合には、利用者が直接サービス提供事業者に依頼する必要があります。

帳簿記載上の注意点

消費税の仕入税額控除を行うために必要な記載要件である「課税仕入れの相手方の氏名または名称」についてですが、以下の記載例のうち、どれが正解だと思いますか?

  1. コンビニ
  2. LAWSON
  3. LAWSON京都●●店
  4. 有限会社▲▲(この店舗の経営者)

正解は、厳密に言えば4になるのですが、実務上は3でも問題ありません(1、2はダメです)。ただし、3のような屋号や簡略化した名称を記載する場合には、レシートに「電話番号」や「ホームページURL」などその店舗が特定できる情報が記載されている必要があります

インボイス制度における「少額特例」との関係

インボイス制度における「少額特例」の詳細については、以下の記事を参照してください。

コンビニで買い物をした際、1回の取引額が税込1万円未満の場合、この少額特例が使えますので、先に述べた簡易インボイスの発行の有無は特に気にする必要がないということになります。

ただし、少額特例を使う場合インボイスは不要ですが、帳簿に以下の内容を記載する必要があるので注意が必要です。

  1. 仕入先の氏名又は名称
  2. 取引の年月日
  3. 取引内容(軽減税率対象の場合には、その点も記載が必要)
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額

なお、他の特例と異なり、帳簿に「少額特例対象」などと記載する必要はありません

最後に

コンビニで1万円以上の買い物をすることはほぼ無いと思いますので、レシートにインボイス番号の記載があるかどうかはそれほど問題にならないと思いますが、コンビニはフランチャイズ加盟店がそれぞれ独自でインボイス登録を行うことや、少額特例を使う場合には帳簿の記載要件を守らなければならないことなどはしっかりと理解しておく必要があると思いますので、これを機会にコンビニの領収書をじっくりと眺めて見るのも良いかもしれませんね。

目次