【都市伝説?】税務署への『密告』は本当にあるの?

いきなりショッキングなタイトルで申し訳有りませんが、結論から申し上げると、納税者から税務署への密告はaあります。

しかも、昔テレビドラマでみたような、公衆電話から匿名の通報をしたり、そっと紙切れを渡したりするようなものではなく、堂々と国税庁のホームページに記載されているので、食べログの口コミを書くくらいの手軽さで税務署に密告することができます。

正式名称を『課税・徴収漏れに関する情報の提供』といい、以下のページに詳細が記載されています。

https://www.nta.go.jp/suggestion/johoteikyo/input_form.html

こちらに記載されている『これまで提供を受けた情報の例』には、次のような事例が紹介されています。

  • 租税回避スキーム(節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避など)に関する情報やその組成・販売をしている者又は利用をしている者に関する情報
  • 虚偽の売上金額(収益)や必要経費(費用)に基づく経理等により、不当・不正に所得金額等を低く(又は還付税額を多く)申告している者及びその手口の情報
  • 事業が活況を呈するなど、申告する必要があると考えられるにもかかわらず申告をしていない者に関する情報
  • 他人名義での取引、他人名義の口座等を利用した取引又は事実に基づかない契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼等を含む。)を行っている者に関する情報
  • 海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報
  • 国税を滞納しているにもかかわらず、財産を隠匿している者に関する情報
  • 上記のような者の協力者に関する情報

これだけみると、この制度は他人への嫌がらせを勧奨するように思えるかもしれませんが、その本質はマーカーをひいた部分にあります。もしも自分の取引先が上記のようなことを行っており、それを看過すればどのようなことが起こるでしょうか?

あなたが一人親方として左官業を営んでいたとして、これ以上売上を計上すると消費税の課税事業者になってしまうため、元請けの社長に『今月の仕事は個人の口座に入れてもらえませんか?売上に上げたくないのでそちらも外注費にしないで下さい』なんて言ってしまったらどうなるでしょう?

その社長には可愛がってもらってるので多少のムリは聞いてもらえると思ったのですが、そこで経理をやっている社長の奥さんが、『こんなことをしたらうちも脱税の手助けをしたことになるし、外注費にできなかったらその分の税金もうちが払わなきゃならないじゃない?』と考え、自分の身を守るために、この一人親方を通報するかもしれません。

また、競合するライバルが密告するケースもあります。競合する業務をやっているだけに、その業界にありがちな不正の手口をよく知っているので、事実を捏造し、相手を陥れる目的で行われたりします。怖いですね…

あと、最近多いのが労使間トラブルが発端となった内部告発など。在職者が告発することもありますが、既に退職した元従業員から告発される例が多いと聞きます。

最近はSNSや動画配信サイトなどから情報を集めることも多く、例えば株式投資の実況サイトやYouTubeでの暴露動画・炎上動画、Twitter等による自慢ツイート、インスタグラムでの高級外車写真のアップなど、それ自体が税務署への情報提供になってしまうものもありますが、怖いのはこういったサイトのフォロワーからの妬みや恨み・嫌がらせ目的の通報が多いということ。

口は災いの元と昔はいいましたが、最近は『SNSは災のもと』といわれているようです。こんな事にならないように、上手に付き合っていきたいものですね。

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