確定申告期限までに間に合いそうになかったら
弊所に寄せられる相談の多くは、個人事業主の「無申告」に関するものですが、そもそも「無申告」に至った原因をお尋ねすると、以下の3つに集約されます。
- 確定申告が必要だと知らなかった
- 確定申告のやり方が分からなかった(面倒くさかった)
- 確定申告期限が近づいてきたが忙しくてできなかった
今回お話したいのは、上記3の「確定申告期限に間に合わなかったから無申告になった」についてですが、実際このような状況になったとき、皆様はどうされますか?
「確定申告期限の2~3日前に、段ボール箱に領収書等一式詰め込んで、近所の税理士事務所に飛び込む」などという税理士事務所からしてみれば悪魔としか思えないツワモノもいらっしゃるかもしれませんが、それでも無申告になるよりは何倍もマシです。
私自身若い頃に勤務していた税理士法人では、このような期限ギリギリの飛び込みの方の申告を担当していましたが、どのように申告していたかというと、「エイ・ヤア」です。
「???」な話ですが、これを理解していただくには、「無申告のデメリット」を知っていただく必要があります。
「無申告」のデメリット
無申告になった場合のデメリットについては、過去に詳しく記事にしておりますので、まずはそちらを参照してください。
これらの記事は主に税制上のデメリットについて解説したものですが、実生活においては、もっと深刻な問題に発展する可能性があります。
代表的なものとしてあげられるのが、「自身の所得金額や納税履歴」が証明できなくなるという問題です。サラリーマンの方であれば、確定申告をしていなくてもお勤めの会社が「源泉徴収票」を発行してくれるので問題はありませんが、自営業者やフリーランスの方は、確定申告書を提出しないと「所得証明書」や「納税証明書」を取得できなくなってしまいます。
これらの書類がなければ、住宅ローンやマイカーローンなどの銀行融資を受けられなくなりますし、子供の奨学金申請や幼稚園の入園手続き、アパートなどの入居審査、補助金や助成金の申請手続き、社会保険の手続など実生活に与える影響は計り知れません。
確定申告期限が3日後に・・・どうする?
ここで先程の「エイ・ヤア」に繋がるのですが、結論は、「間違っていたり概算計算でもいいからまずは確定申告期限内に確定申告をする」です。
随分乱暴に聞こえますが、無申告(期限後申告含む)対するデメリットの方が明らかに大きい以上、まず目指すべきは「期限内申告」です。
ただし、この状態で終わらせてはいけません。その後できるだけ早いタイミングで正確な計算をやり直して、先に提出した確定申告書の内容を正すための「修正申告書」を速やかに提出します。ただし、確定申告書の作成もままならなかった方が、正しい計算をして修正申告書を提出できるとは考えにくいので、この段階で税理士事務所に相談すると良いでしょう。確定申告時期が過ぎた後であれば、税理士事務所も余裕を持って対応していただけると思います。
このように、とりあえず期限内申告し、後日修正申告することで「無申告」や「期限後申告」を避けることはできますが、修正申告するまでに時間がかかり、修正後の税額も多くなる場合は、「延滞税」が課されますので注意してください。
また、稀に延滞税が課されるのを避けるために、当初の概算計算による期限内申告に係る税額が多くなるように申告し、後日修正する申告税額が少なくなるように処理する事例を見かけます。この払いすぎた税額を取り戻す手続きを「更正の請求」といいますが、税務署としては税金を返す手続きになりますので、修正申告に比べ、状況の問い合わせなどを受ける可能性が高くなります。
なお、修正申告書を提出することにより、税務署から各市区町村に情報が伝達されるのに2ヶ月程度かかりますので、所得証明や納税証明が必要な方は、個別に各窓口に相談するようにしてください。