無申告が発覚する前に自主的に申告すべき理由は?

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確定申告を怠ると・・・

法人でも個人事業者でも、確定申告すべき期日までに申告・納付を行わないと、「無申告」の状態になります。理由はどうあれ、その後遅れて「自主的に」行う確定申告を「期限後申告」といいますが、申告を行わず、税務署から指摘を受けて、確定申告すべき所得金額などを税務署に決められてしまうことを「決定処分」といいます。

いずれにしても、確定申告期限を過ぎて期限後申告をしたり決定処分を受けると、納付すべき税金の他に以下のような税金が課せられてしまいます。

延滞税

延滞税とは、納付すべき税金を法定納期限までに収めていない場合に追加で課される税金のことで、納付していなかった期間に対する利息に相当するものです。延滞税は納付すべき期日の翌日から課税されますが、法定納期限から2ヶ月をすぎると急激に割合が高くなります。割合の計算方法の詳細は割愛しますが、令和5年10月24日時点では、以下のような割合になります。

期間2ヶ月未満2ヶ月以降
令和3年1月1日~令和3年12月31日2.5%8.8%
令和4年1月1日~令和4年12月31日2.4%8.7%
令和5年1月1日~令和5年12月31日2.4%8.7%

無申告加算税

無申告加算税とは、確定申告期限までに申告が行われなかった場合に、納付すべき税額に対して追加で課される税金で、期限後申告書を提出するタイミングにより税率が変動します。

原則

各年分の無申告加算税は、原則として以下の割合により計算します。

納付すべき税額割合
50万円以下の部分15%
50万円超~300万円以下の部分20%
300万円超の部分(注)30%

(注)令和5年分以降(令和6年1月1日以後に法定期限が到来するもの)について適用されます。

ただし、以下の事由に該当するときは、無申告加算税が課されません。

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に期限後申告をした場合
  • 正当な理由がある場合

特例

期限後申告書を提出するタイミングで、無申告加算税の割合が以下のように軽減されます。

税務署の調査を受ける前に、自主的に期限後申告した場合

無申告加算税の割合は5%となります。

税務調査の事前通知があった後、税務署から指摘を受けるまでに期限後申告した場合

納付すべき税額割合
50万円以下の部分10%
50万円超~300万円以下の部分15%
300万円超の部分(注)25%

(注)令和5年分以降(令和6年1月1日以後に法定期限が到来するもの)について適用されます。

なお、税務署から指摘を受けて期限後申告を行った場合には、原則通りの割合となります。

無申告を放置してはいけない理由

無申告状態が長引くと、「カードローンの金利よりも高い延滞税」と、「タイミングによって3倍以上に膨らむ無申告加算税」が課されることになります。また無申告の方が見落としがちなのが、所得税の期限後申告をすることで、住民税や事業税、国民健康保険料などにも影響が及び、それぞれで税額や保険料が修正されるという点です。住民税や国民健康保険料でも延滞税に相当する延滞金が加算されますので、放置している期間が長引くほど雪だるま式に増えていくことをしっかりと認識しておく必要があります。

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