帳簿提出の求めに応じない場合は加算税がさらに加重されます

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売上に係る帳簿がないと・・・

所得税の確定申告を白色申告で行う場合、以前は帳簿を作成しなくても指摘を受けることはありませんでしたが、令和4年以降は、白色申告であっても、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずる業務を行う場合や、前々年の雑所得の収入金額が300万円を超える業務を行う場合については、その業務に係る記帳および帳簿等の保存が義務付けられるようになりました

ただし、白色申告者の記帳については、青色申告に求められるような正規の簿記の原則に従った記帳ではなく、簡易な方法による記帳で良いとされています。

このように、現在では事業を行う全ての方が何らかの形で帳簿を作成しなければならないのですが、特に売上に関する事項を記録した帳簿を保存していなかったり、帳簿を保存していても、売上についての記載が不十分であった場合には、令和6年以降の税務調査においてそれらが発覚した場合には、一定のペナルティが課されることになります。

帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置

このように白色申告者であっても記帳義務が課されるわけですが、これをさらに徹底するために、税務調査において税務職員から「売上に関する調査に必要な帳簿」の提示を求められた際に、帳簿の提出ができなかったり、売上金額の記載に不正があったときは、その申告漏れに対して課される加算税(過少申告加算税・無申告加算税)がさらに加重されることになります。

対象となる税目

所得税・法人税(地方法人税)・消費税

適用時期

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する所得税・法人税(地方法人税)・消費税について適用されます。
(注)申告期限のない還付申告については、令和6年1月1日以後に還付申告をした場合について適用されます。

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税目適用時期
所得税令和5年分から適用
法人税(地方法人税)令和5年10月決算期分から適用
(例えば、3月決算法人の場合は令和6年3月決算期分から)
消費税課税期間が1年の場合は所得税や法人税と同じ。課税期間の特例を適用している場合には、令和5年10月以降に課税期間が終了するものから適用

適用要件

上記税目に係る税務調査において、税務職員から「売上に関する調査に必要な帳簿」の提示を求められ、かつ、次のいずれかに該当する場合

  1. 帳簿の提示等をしなかった場合
  2. 帳簿への売上金額の記載が、本来記載すべき金額の2分の1未満だった場合
  3. 帳簿への売上金額の記載が、本来記載すべき金額の3分の2未満だった場合

処分内容

・上記1の場合・・・過少申告加算税や無申告加算税の割合が10%加重されます。
・上記2の場合・・・過少申告加算税や無申告加算税の割合が10%加重されます。
・上記3の場合・・・過少申告加算税や無申告加算税の割合が5%加重されます。

適用にあたっての留意点

重加算税や不納付加算税が課された場合

税務調査の現場で上記のような売上の記載漏れが発覚した場合において、脱税を目的とした悪質な売上除外があったと認定された場合には、過少申告加算税や無申告加算税に代えて重加算税が課されるケースがありますが、この規定において対象となるのは過少申告加算税と無申告加算税のみであり、これら以外の加算税である重加算税や不納付加算税は対象とされていません

自主的に期限後申告書や修正申告書を提出した場合

税務調査を受けていない状況において、自発的に修正申告書や期限後申告書を提出した場合には、提出時点において税務調査を受けておらず、税務職員から帳簿の提示を求められている状況にないため、この措置の適用はありません

ただし、この場合は加重措置はありませんが、従前から課されていた過少申告加算税や無申告加算税は掛かります。

「帳簿」に当たらないもの

白色申告者などで、会計ソフトなどを使わず手書きノートに売上などを記載している場合において、個々の売上高や売上先の記載がなく、単に日計金額だけを記載しているものや、経費などを月単位で合計したものを記載している程度であれば、帳簿として認められません。

また、請求書や領収書など売上内容を確認できる書類を、雑然と段ボール箱などに保管しているだけでは本措置における「帳簿」として認められません。ただし、売上に係る請求書などを、取引年月日順に規則正しく整然と保管されており、相手方の氏名や金額が確実に把握できる状態であれば、帳簿として取り扱われます。

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