定額減税:給与担当者が4月中にやっておきたいこと

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給与担当者が4月中にやるべきことは?

あと2ヶ月ほどで定額減税がスタートしますが、4月のうちに何をすればよいかよくわからない方も多いと思います。

とりあえず現時点でやるべきこととしては、扶養控除等申告書に記載されている情報の確認、不足事項の収集、対象者とそうでない者への周知徹底、定額減税の実施状況を確認するための帳簿やソフトの整備などでしょうか。

これらを4月から5月にかけて行うわけですが、4月は新規採用の多い時期でもあるため、既存の従業員だけでなく、新規採用者のケアなども行う必要があるため、できるだけ早めに着手するのが望ましいでしょう。

控除対象者(従業員本人)の確認

自社で定額減税の適用を受けることができるのは、令和6年6月1日時点で在職し、令和6年分の扶養控除等申告書を提出(甲欄)している従業員だけなので、適用対象となる従業員から扶養控除等申告書の提出漏れがないか確認するとともに、他に主たる給与を有する従業員(乙欄)や、丙欄を適用している短期アルバイトに対し、主たる給与の支払者のもとで定額減税を受けたり、確定申告により定額減税を受けるなど、自社では月次減税処理ができないことを伝えます。

なお、本人の定額減税については、適用に際し所得制限(1,805万円以下)がありますが、この所得制限を超える従業員に対しても毎月の定額減税を行います。ただし、給与収入が2,000万円を超えると年末調整の対象外となりますので、最終的に自身で確定申告を行って精算するよう指示します。

また、4月は新規採用者が多いので、令和6年分の扶養控除等申告書の提出を徹底するとともに、定額減税の趣旨などを説明するようにしましょう。

同一生計配偶者や扶養親族の確認

令和5年以前から在職し、現在も引き続き勤務している従業員については、令和5年分の年末調整時に「令和6年分給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していますので、配偶者や扶養親族(特に年少扶養親族)の記載漏れがないか確認します。

なお、扶養控除等申告書に記載されていない情報を収集するにあたっては、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」の提出が求められていましたが、最新の「定額減税Q&A 6-14」により、法令で定められた記載事項を漏れなく収集できるのであれば、上記申告書の書式以外の方法で情報収集しても差し支えないとされました。

従って、情報漏洩や守秘義務が徹底された状態であれば、メール等で情報の提供を受けることも可能です。

また、配偶者や扶養親族の所得要件(48万円以下)を満たしているかどうかは、現時点ではわからない場合が多いと思いますが、明らかに超えてしまう場合を除き、「なんとなく超えそうだな~」程度であれば、対象者として扶養控除等申告書に記載してください。結果として対象外となった場合には、年末調整により精算することになります。

なお、令和6年分給与所得者の扶養控除等申告書の提出時点で配偶者や扶養親族の記載がない場合において、「7月に入籍予定」とか「8月に出産予定」などといった未確定の情報は定額減税事務においては考慮されませんので、収集する必要はありません。ただし、扶養控除等申告書に記載されていた扶養親族等が、令和6年6月1日以後最初の給与等の支払日の前日までに死亡した場合、死亡日の現況で扶養親族等であると判定されるのであれば、月次減税の計算に含まれますので、記載が漏れていないか確認してください。

従業員別の控除事績簿等の整備

日々の給与計算については、手計算で行っている会社もあれば、給与計算ソフトで行っている会社もあると思いますが、いずれにしても、従業員ごとに定額減税の実施状況が異なる以上、これらを管理する手段が必要です。

これについて、国税庁が「各人別事績簿」を試作版として提供していますので、これを参考に、自社の業種や規模に応じてカスタマイズして利用すると良いと思います。

ちなみに弊所のお客様については、会計処理についてマネーフォワードクラウド会計を導入していただいておりますが、同じサービス内で利用できる「マネーフォワードクラウド給与」と「マネーフォワードクラウド年末調整」が、定額減税への対応をアナウンスしておりますので、このようなサービスを利用することで定額減税事務の省力化を図るのも良い選択かと思います。

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