新型コロナの影響により支給される主な給付金等のうち、課税対象となるもの
新型コロナウイルス感染症の影響により、国や自治体から支給される主な給付金・助成金のうち、法人税または所得税の課税対象となるものには、以下のようなものがあります。
- 持続化給付金(法人200万円・個人100万円)
- 小規模事業者持続化補助金
- 家賃支援給付金(法人600万円・個人300万円)
- 農林漁業者への経営継続補助金
- 文化芸術・スポーツ活動の継続支援
- 東京都の感染拡大防止協力金
- 雇用調整助成金
- 小学校休業等対応助成金
- 小学校休業等対応支援金
なお、上記の給付金等については、消費税は課税されません。
新型コロナの影響により支給される主な給付金等のうち、課税対象とならないもの
新型コロナウイルス感染症の影響により、国や自治体から支給される主な給付金・助成金のうち、課税対象とならないものには、以下のようなものがあります。なお、()内は非課税の根拠となる法律です。
- 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
- 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
- 特別定額給付金 (10万円給付・新型コロナ税特法4条 1 号)
- 子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条 2 号)
- 学資として支給される金品(所得税法9条1項 15 号)
・学生支援緊急給付金 - 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法 9 条 1 項 17 号)
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
雇用調整助成金の収益計上時期は?
雇用調整助成金の収益計上時期は、実際に入金があった日ではなく、休業や教育訓練を実施した日の属する事業年度に計上します。なお、金額が確定していない場合でも、見積もり計上しなければならないので注意して下さい。
なぜ給付金・助成金等が課税されるのか?
この件について、国税庁は次のような見解を示しています。
給付金や助成金が非課税となるか否かは、これらの給付金等の支給に関する根拠となる法令や、各税法・租税特別措置法に非課税とする旨の明文規定があるものに限るとしています。言い換えると、非課税にするとはっきりと法律で規定されていないものを、国民感情やその時の解釈で特定の税金を非課税にすることはできない、というスタンスです。
たとえば、「雇用調整助成金」を見てみると、根拠となる法律である雇用保険法にも、新型コロナ税特法にも非課税とする旨の記載はありませんし、税法上の非課税となる見舞金等にも該当しません。これらのことから、雇用調整助成金は「課税対象」と判断されます。
ただし、雇用調整助成金自体は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に当てはまらないので、消費税は課税されないことになります。
ちなみに
税理士として、上記の理屈は理解できます。法解釈としては正しいと思います。
しかし、国税庁の説明文を見たときに、少しカチンと来ました。
「助成金は課税されますが、コロナにより赤字となっている場合には、その赤字に吸収されて実質的には税負担は生じません(実際の文面はもっときちんとしています)」
これでは、緊急事態宣言による自粛・休業要請に従ってやむなく営業停止した事業者や、なんとか雇用を守ろうとして頑張ってきた事業者は何一つ報われないことになります。
国税庁の言い分にしても、たしかに今期の納税は発生しないかもしれませんが、今期に課税対象にされた分、翌期以降に繰り越す欠損金が減るわけですから、業績が回復したときに課税される税額が増える=納税者不利となり、結果として納税者に正しい情報を伝えていないことになります。
皆様も思うところはあると思いますが、多くの声が上がれば状況が変わるかもしれません。私も引き続き、この問題を注視していきたいと思います。