例年であれば、京都はまさに桜満開・・・といった感じですが、今年は天候も良く、枝垂れにしても染井吉野にしても、例年より1週間から10日早く見頃を迎えてしまい、現在では既に散り桜を愛でる状態になってしまいました。今週末に花見を予定されている方は、仁和寺の御室桜が京都で一番最後に見頃を迎えますので、どうぞ訪れてみてください。
さて、今回は料理で言うところのサイドディッシュのような論点である『法人市民税』についてお話したいと思います。
法人市民税を含む、いわゆる地方税は、法人の事業所や店舗が一つだけであればそれほど問題になることはありません。強いて言えば、赤字決算であっても、『均等割』という最低限の税金が徴収されるといったことなどでしょうか。
この法人市民税は、上で述べた最低限納めなければならない『均等割』と、国税である法人税額を基準として課税される『法人税割』で構成されています。
もしもみなさんの会社が、複数の都市に事業所や工場、支店などを設けている場合、この『均等割』と『法人税割』はどのように計算されるかご存知でしょうか?
例として、次のような法人を仮定してみましょう。
① 本社(京都市) 資本金1千万円 従業者数10人
② 支店(亀岡市) 従業者数5人
③ 貸地(城陽市) 従業者数0人
④ 保養所(京丹後市) 従業者数1人
・今年度の法人税額(国税)150万円
まず『均等割』ですが、①~③については『事務所等(注)』に該当しますので、それぞれの市が定める均等割が課されます。また、④については、事務所等には該当しませんが、保養所は寮等に該当するので、均等割の対象となります。したがって、この設例であれば、京都市に5万円、亀岡市に6万円、城陽市に6万円、京丹後市に6万円、合計23万円の均等割がかかります。
次に『法人税割』ですが、課税の対象となる法人税額(国税)を、それぞれの市の『従業者数』で按分すると、
① 京都市 150万円✕10人/15人=100万円
② 亀岡市 150万円✕5人/15人=50万円
③ 城陽市 150万円✕0人/15人=0円
④ 京丹後市 事務所等に該当しないので対象外(分母の従業者数にも含めない)
これに、京都市、亀岡市が定める法人税割の税率を掛けた金額が、それぞれの市に納付する法人税割額となります。
このように、複数の市区町村に事業所を展開している法人については、『事務所等』『従業者数』の定義をしっかり確認しておかないと、うっかり申告を忘れてしまう可能性が高いので、十分に気をつけておきましょう。
(注)
Ⅰ.事務所等の要件
事務所等の要件として、人的設備、物的設備、事業の継続性の三要件があります。
❐人的設備
・人的設備とは、正規従業員だけでなく、法人の役員、清算法人における清算人、アルバイト、パートタイマーなども含みます。
・人材派遣会社から派遣された者も、派遣先企業の指揮および監督に服する場合は人的設備となります。
・規約上、代表者または管理人の定めがあるものについては、特に事務員等がいなくても人的設備があるとみなします。
❐物的設備
・事務所等は、それが自己の所有であるか否かは問いません。
・物的設備とは、事業に必要な土地、建物、機械設備など、事業を行うのに必要な設備を設けているものをいいます。
・規約上、特に定めがなく、代表者の自宅等を連絡所としているような場合でも、そこで継続して事業が行われていると認められるかぎり、物的設備として認められます。
❐事業の継続性
・事務所等において行われる事業は、個人又は法人の本来の事業の取引に関するものであることを必要とせず、本来の事業に直接、間接に関連して行われる付随的事業であっても社会通念上そこで事業が行われていると考えられるものについては、事務所等とします。
・事業の継続性には、事業年度の全期間にわたり、連続して行われる場合のほか、定期的又は不定期的に、相当日数、継続して行われる場合を含みます。また、そこで事業が行われた結果、収益ないし所得が発生することは必ずしも必要としません。
・原則として2~3ヵ月程度の一時的な事業の用に供される現場事務所、仮小屋などは事務所等に該当しません。
Ⅱ.事務所等の範囲
・宿泊所、従業員詰所、番小屋、監視等の内部的、便宜的目的のみに供されているものは、事務所等の範囲に含みません。
・材料置場、倉庫および車庫等など単に物的施設のみが独立して設けられたものは、事務所等の範囲に含みません。
・モデルハウスは、商品見本としての性格が強いものは事務所等の範囲に含みませんが、展示場として人的設備、物的設備のあるものは、事務所等の範囲に含まれます。
・デパート内のテナントは、事務所等の範囲に含まれます。
・人的施設または物的施設の一方のみ有する場合には事業所等に該当しません。