太陽光発電に係るインボイス制度の影響

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「余剰売電」と「全量売電」

太陽光発電による電力の売却が消費税の課税対象になるかどうかは、以下の要件を満たしているかどうかによります。

  1. 国内において行う取引であること
  2. 事業者が事業として行うものであること
  3. 対価を得て行うものであること
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること

したがって、会社員などが自宅に太陽光発電設備を設置し、固定価格買取制度に基づいて余剰電力を電力会社に売却している場合(余剰売電)などは、生活用に設置した太陽光発電設備により発電した電力のうち、使いきれずに余った電力を売却しているので、「事業として」という要件から外れ、消費税の課税対象にはなりません。
(ただし、会社員でも反復、継続、独立して行われるものであれば、課税対象となります。)

一方、余剰売電ではなく「全量売電」を行う場合、発電した電力を生活用に使うことなく、電力会社との契約により数年間に渡って反復、継続、独立して売却することから、消費税の課税対象となります。

太陽光発電事業者に係るインボイスの取扱い

今年の年明けくらいに、太陽光発電で売電を行っているFIT認定事業者宛に資源エネルギー庁から「インボイス制度の登録準備はお済みですか?」というパンチの効いたハガキが届き、びっくりされた方も多いと思います。その後の反響や表現方法がよろしくなかったということで、ここ最近は届いていないようですが、実際、インボイス制度開始に伴い、太陽光発電事業者はインボイス事業者として登録する必要があるのでしょうか?

結論を先に申し上げると、消費税を申告・納付していない方(免税事業者)は、インボイス制度に関する対応は不要です。インボイスの登録がなくとも、現行の買取価格が変更されることはありません

まずは一安心ですね。

既にFIT認定を受けている場合

現時点で課税事業者の方

インボイス発行事業者の登録を行い、インボイス登録番号を買取事業者に報告する必要があります。

現時点で免税事業者の方

インボイス制度に関する対応は不要です。インボイスの登録がなくとも、現行の買取価格が変更されることはありません

今後新たにFIT認定を受けようとされている方

現時点で課税事業者の方

資源エネルギー庁によると、2023年度以降新たにFIT認定を受けようとする事業者のうち、課税事業者に該当する方については、インボイス発行事業者としての登録を行うことをFIT認定の要件とする予定なので、予めインボイス発行事業者としての登録申請を行う必要付があります。

なお、会社員等が自宅に設置した太陽光発電設備より生じた電気の余剰売電については、消費税の課税の対象外ですので、引き続き対応する必要ありません。

現時点で免税事業者の方

2023年度以降新たにFIT認定を受ける場合でも、免税事業者については、これまでと同様、インボイス発行事業者に登録していなくてもFIT認定を受けることが可能です。

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