個人事業主で申告漏れの多い業種は?

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令和4事務年度(令和4年7月~令和5年6月)における申告漏れ調査

国税庁は毎年(正確には「事務年度」)税務調査を実施した結果について報告資料を公表していますが、最新の調査結果を見ると、現在国税がどの業種に対する調査に注力しているのかなどがわかります。

まずはTop10を見てみましょう。

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順位業種1件当りの
申告漏れ所得
1件当りの
追徴税額
前年順位
1経営コンサルタント3,367万円676万円1
2くず金卸売業2,483万円952万円
3ブリーダー2,075万円454万円3
4焼肉1,611万円319万円
5タイル工事1,598万円266万円
6冷暖房設備工事1,520万円287万円15
7鉄骨、鉄筋工事1,440万円261万円
8太陽光発電1,391万円289万円
9バー1,391万円250万円
10電気通信工事1,374万円223万円13
引用:国税庁「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況|事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」

最初に申し上げておきますが、この順位は「この業種は脱税が多い」ということではなく、「この業種を重点的に調査した結果発覚した件数が多かった」ということだと思います。

まず全体的な印象ですが、「工事業」が飛び抜けて多いです。細かく分けられていますが、「工事業」で括ってしまうと、ダントツ1位となってしまいます。これら工事業に従事する個人事業主はいわゆる「一人親方」が多く、悪意を持って脱税をしているというよりは、一人で現場に出てるので経理なんてやってられないとか、単純に申告しなければいけないことを知らなかったといった、ちょっと雑な(失礼)理由で申告が漏れているように感じます。

不謹慎ながら少し頬を緩めてしまったのが「焼肉」です。せめて「焼肉店」にしてほしかったのですが、飲食業の中でも特に焼肉店が狙われたのは、コロナ禍における「焼肉店は常時換気しているから感染リスクが低い」などといった風評なども影響し、大きく売上を伸ばしたため、税務署に狙われてしまったのかもしれません。

3位のブリーダーですが、京都市近郊では滋賀県で大きな脱税事件があったように、1件当りの所得漏れも大きく、国税も重点的に調査に着手していると思われます。ペット業界全体も、コロナ禍による巣ごもり需要に押され業績を大きく伸ばしていますので、引き続き調査対象としてマークされそうです。

2位のくず金卸売業については聞き慣れない方もいるかもしれませんが、工事現場などで発生した非鉄金属スクラップなどを集荷し、選別して販売する事業者のことをいいます。先程の工事業と表裏一体となっている面があることから、くず金卸売業者に対しても税務調査が多く行われるのだと思います。

例えば、斫りなどの解体業や工事業の現場では常時スクラップなどの廃材が生じますが、これをくず金卸売業者に引き取ってもらった場合、その代金は「雑収入」に計上しなければなりません。このスクラップ売却収入を計上していない事業者は多く、税務調査でも必ずチェックされる項目になります。

そして売却する側の事業者で行われた税務調査で収集された情報により、芋づる式にくず金卸売業者に対する調査が行われることになります。もちろんこれは逆のパターンもあります。

そして不名誉な第1位は…「経営コンサルタント」です。

経営コンサルタントと総称しておりますが、国家資格が必要なものから自称コンサルタントまで、すべてのコンサルタントを指しておりますので、真面目に取り組んでおられる方には大変失礼ですが、ここでは「経営コンサルタント」と一括させていただきます。

これもコロナ禍の影響ですが、世の中の大多数の業者が経営不振、もっと言えば倒産の危機に瀕したため、なんとか業績回復を狙って経営コンサルタントにアドバイスを求める事例が多発しました。その中でも目立ったのが補助金や助成金を取得するためのコンサルタントで、補助金の数十パーセントを手数料として…といったかなり乱暴なことをされている事例を私も見聞きしたことがあります。

経営コンサルタントは基本的に仕入れなどの原価に当たるものがありません。売上≒利益となると、税負担がとんでもなく大きくなるため、どうしても売上の除外や架空経費の計上といった脱税行為に走りがちなのかもしれません。

最後に

重ねて申し上げますが、この順位は「脱税が多い業種ランキング」ではありません。「重点的に税務調査が行われた業種ランキング」と見るほうが現実に近いと思います。とはいえ、経営指導や経営改善を生業とする経営コンサルタントに脱税が多く見られたというのはなんとも…といった感じですね。

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