リース取引については、平成20年4月以降はリース取引に関する新しい会計基準が適用されているため、所有権移転外リースとされるファイナンス・リースについては、原則として売買処理に統一されました。
このリース取引については、皆様に知っておいてほしい論点がたくさんあるのですが、それはまたの機会に解説するとして、今回はこの売買処理されたリース資産の取扱について、特に少額減価償却資産に的を絞ってお話したいと思います。
所有権移転外リースにより売買処理されたリース資産は、個々の資産の耐用年数や償却方法によらず、全てリース期間定額法というやり方で減価償却を行います。その際、このリース資産がいわゆる『少額減価償却資産』に該当した場合、どのように処理すればよいのかご存知でしょうか?
このリース資産の減価償却の特例として次のような定めがあります。
① 10万円未満の少額減価償却資産
ここで言う『少額減価償却資産』とは、『取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満』の資産のことで、法人税法施行令第133条に規定されているものです。
② 一括償却資産
一括償却資産とは、『取得価額が20万円未満』の資産で、法人税法施行令第133条の2に規定されているものです。
③ 中小企業者の少額減価償却資産の特例を受ける資産
『取得価額が10万円以上30万円未満』の資産で、租税特別措置法第67条の5の適用対象となるものです。
上記のうち、①と②については、所有権移転外リースにより売買処理されたリース資産には適用できません。つまり、①についてはその年度での全額損金処理が、②については3年間での全額損金算入処理ができないことになります。
一方、③については、先に述べた①、②とは異なり、売買処理されたリース資産についても適用対象からは除外されていないため、他の要件を満たしていれば(中小企業者に該当し、青色申告書を提出している等)全額をその年度の一時の損金として計上することができます。ただし、全額を損金経理しなければこの規定は適用できないことから、リース資産でも一定の場合に認められている賃貸借処理により経理している場合等については適用できないので注意して下さい。
また、リース契約を締結する際、複数の資産を一括して契約することがよくありますが、この場合、30万円未満の判定は契約単位で行うのではなく、個々の資産単位で判定することにも注意して下さいね。