目次
インボイス制度に係る経過措置
インボイス制度が導入されて約2ヶ月が経過しましたが、予想した通り、経理の現場では数々の混乱が生じています。そんな中、お客様からこのような質問を度々頂いておりました。
「インボイス登録事業者か確認するのが面倒だから、全部ひっくるめて80%の経過措置を適用したらダメ?」
感覚的には大丈夫だろうと思っておりましたが、今回国税庁から発表された最新のQ&Aで取り扱いが明示されました。
インボイス登録事業者が発行した請求書に係る経過措置の適用
インボイス制度開始後、免税事業者やインボイスの登録を受けていない事業者、一般消費者から物品の購入やサービスの提供などを受けた場合、インボイスが交付されないため、原則として買手は消費税の計算上、仕入税額控除ができないとされていますが、制度開始後3年間は仕入税額の80%、その後の3年間は仕入税額の50%を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。
この経過措置は一見するとインボイスを発行できない事業者から交付される請求書についてのみ適用されると思われがちですが、今回の国税庁が発表したQ&Aにより、インボイス登録事業者が発行する請求書についても、経過措置の適用を受けられることが明らかとなりました。
ただし、正しいインボイスが発行されているのにわざわざ納税者が不利となる経過措置を適用する例はあまりないと思いますが、例えばインボイス登録事業者が発行する請求書なのにもかかわらず、インボイス番号の記載がないとか、大量の請求書を処理する際に、インボイス登録事業者かどうか確認することが現実的に不可能な場合などに、一括して経過措置を適用することがあるかもしれません。
この場合であっても、請求書自体は複数税率や消費税額など、区分記載請求書等の記載要件を満たしたものである必要があることは言うまでもありません。