賞与を未払計上する場合の注意点

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決算期末に計上する賞与

アフターコロナで業績が回復し、年末に冬期賞与や決算賞与を支給しようと考えておられる企業は多いと思います。しかし、12月決算の企業は資金繰りや営業日数の関係で、期末に未払賞与として処理することがあると思いますが、従業員の賞与を未払処理するための要件をきちんと押さえて処理されているでしょうか?

使用人賞与の損金算入時期

原則

使用人賞与をどのタイミングで経費にするかが税務調査でもよく問題になりますが、原則は「賞与を実際に支給した日の属する事業年度」に損金算入(経費計上)します。

決算賞与のような臨時かつ多額となる支出を無条件に未払計上してしまうと、利益操作や租税回避行為に繋がる恐れがあるため、実際に支出した日(債務確定日)に損金算入することになります。

特例

労働協約または就業規則により規定されている賞与

労働協約や就業規則により、支給対象期間や支給基準、支給予定日などが定められている賞与については、以下の要件を満たしていれば、未払計上することができます。

  1. 使用人に支給額を通知していること
  2. 支給予定日または通知日の属する事業年度に経費として処理していること

上記の要件を満たした場合、「支給予定日又は通知日のいすれか遅い日の属する事業年度」の損金の額に算入することができます。

決算賞与など就業規則等に規定されていない臨時の賞与

就業規則等に規定されていないが、決算賞与など臨時に賞与を支給する場合は、以下の要件を満たしていれば、未払計上することができます。

  1. 支給額を各人別に全員に通知していること
  2. 通知した事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支給していること
  3. 通知した事業年度に経費として処理していること

上記の要件をすべて満たした場合、「通知日の属する事業年度」の損金の額に算入することができます。

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