インボイスの効力は自動的に相続されるのか?
インボイスの登録を受けた事業者である親(被相続人)が死亡し、子(相続人)が親の事業を承継した場合、インボイス登録の効力は自動的に親から子に相続されるのでしょうか?
結論は「No」です。親のインボイス登録は自動的に子に引き継がれません。ただし、親のインボイス登録が失効するまでは、子は「一時的に使用」することができます。
また、相続人が事業を承継しなかった場合にも一定の届出書を提出する必要がありますので、それぞれの取扱について以下にまとめていきます。
相続人が被相続人の事業を承継しない場合
令和5年9月30日までに死亡した場合
まだインボイス制度の適用開始前なので、被相続人がインボイスの登録申請を行っていたとしても、登録申請の効力は発生しません。
この場合、相続人は事業を承継しないので、インボイスに関することは何もしなくても大丈夫です。ただし、被相続人が行っていた事業に関する所得税の申告(準確定申告)は、亡くなってから4ヶ月以内に相続人が行ってください。
令和5年10月1日以降に死亡した場合
被相続人がインボイスの登録を受けた後に死亡した場合、相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があります。
被相続人のインボイス登録の効力は、この「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出した日の翌日に失われますが、もしも提出しなかったとしても、被相続人が死亡した日の翌日から4ヶ月を経過した日に自動的に失効します。
相続人が被相続人の事業を承継する場合
令和5年9月30日までに死亡した場合
まだインボイス制度の適用開始前なので、被相続人がインボイスの登録申請を行っていたとしても、登録申請の効力は発生しません。
この場合、相続人が事業を承継し、令和5年10月1日からインボイスの登録事業者として事業を行う場合は、原則として令和5年3月31日までに相続人自身がインボイスの登録申請書を提出する必要があります。
ただし、インボイスの登録申請を行うに当たって、申請期限内に提出することができない事情(相続による事業承継はこれに当たります)がある場合には、登録申請書にその困難な事情を記載して令和5年9月30日までに提出すれば、令和5年10月1日に登録を受けたとみなされます。
令和5年10月1日以降に死亡した場合
まず被相続人のインボイス登録の効力についてですが、先述の通り、
- 相続人が「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出した日の翌日
- 被相続人が死亡した日の翌日から4ヶ月を経過した日
のいずれか早い日に効力を失います。
ただし、効力が失われるまでの期間は、事業を承継する相続人をインボイス事業者とみなす措置がとられますので、相続人は被相続人のインボイス番号をそのまま使うことができます。
もちろん相続人は遅滞なく自身のインボイス事業者の登録申請を行う必要がありますが、登録が完了するまでに一定の日数を要するため、この措置を適用することでインボイス登録事業者の空白期間を発生させることなく事業を行うことができます。