白色申告をする個人事業主の記帳義務(サンプルあり)

目次

白色申告は帳簿を作らなくても大丈夫?

20年ほど前、私が税理士になったばかりの頃、確定申告期限ギリギリに相談に来られ、スーパーの紙袋や段ボール箱いっぱいに詰め込んだ領収証を前にして、「なんとかして」と懇願されるお客様が結構いらっしゃいました。当時勤めていた税理士事務所では、このような駆け込み寺担当が私だったこともあり、ゴリゴリの力技の申告をする経験を積むことはできましたが、本当にこれで良いのかとずっと悩んでいた記憶があります。

当時はこのような白色申告事業者の確定申告については、現金出納帳などの帳面を作らず、勘定科目ごとに整理した領収書をエクセルなどで集計して申告することがよくありました。とはいえ、これらの集計作業を1年分まとめてやるとなると、2日や3日で終わるわけがありませんので、そのうち面倒になって、前年の申告書を眺めながら適当な売上高や経費などを記入し、それが当たり前となってしまった事業者を何人も見てきました。

このように、2013年以前は所得金額が300万円以下の白色申告者は、帳簿を付ける義務がありませんでしたが、2014年以降は、所得金額に関わらず、全ての白色申告者に対して帳簿を付ける義務が課されることになりました。

白色申告に求められる帳簿とは?

青色申告の場合、正規の簿記の原則(複式簿記)に従ってすべての取引を記帳しなければなりませんが、白色申告の場合はそこまで厳密な記帳を要求されず、簡易な方法(単式簿記)でも良いとされています。

簡易な方法とは、所得税額を計算するために最低限必要な損益の計算ができる程度の記帳方法のことであり、売上・経費の集計表のようなものをイメージしていただけたら結構です。

ただし、簡易な方法とはいえ、毎年継続して行わなければならないですし、第三者が見ても内容がわかる程度のレベルは維持しないといけません。

書式については特に指定されておりませんが、国税庁に簡単なサンプルがありましたので、それを元にエクセル形式で作成しました。勘定科目の説明も併せて記載しておきましたので、適当な雛形がないとお困りの方は以下のリンクからダウンロードしてお使いください。

記帳方法の詳細につきましては、国税庁ホームページまたは国税庁YouTube動画で確認することができます。

目次