定額減税:給与所得・公的年金・事業所得・不動産所得のいずれかの組み合わせがある方の定額減税は?

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令和6年3月20日時点での情報です

今回の定額減税は、詳しく調べるほどにわからなくなってくる奇々怪々な制度ですので、今回解説する論点についても、近いうちに国税庁からのQ&Aなどで変更されるかもしれません。したがって、現時点で判明している資料や税務当局への問い合わせなどに基づいて作成していることをご了承くださいませ。

複数の所得がある場合の定額減税(所得税)

給与所得だけとか年金受給だけといった方については、様々な媒体で詳しく解説されているためなんとなくイメージもつかめてきたと思いますが、サラリーマンをしながら副業をしたり、年金の他に不動産の賃貸収入があるなどという方は、今回の定額減税がどのように適用されるのかよくわからないと思います。

そこで、複数の所得をお持ちの方について、その組み合わせによりどのように定額減税が行われるのか考えていきたいと思います。

給与所得と公的年金がある場合

給与所得と公的年金の両方がある場合、どちらか一方を選択して定額減税を受けることはできませんので、主たる給与(甲欄)の支払者のもとで定額減税を受けるとともに、公的年金に係る源泉徴収税額からも定額減税を受けることになります。

つまり控除対象者が本人のみの場合、給与所得に係る源泉徴収税額で最大3万円、かつ公的年金に係る源泉徴収税額からも最大3万円、合わせて最大6万円の控除を受けることになりますが、これは明らかに重複適用なので、最終的に令和6年分の確定申告を行うことで、重複分の定額減税額の精算を行います

例年であれば、給与と年金に係る源泉所得税の還付を受けるために確定申告をすることが多かったと思いますが、定額減税が重複して適用されるため、確定申告により重複分を返納するパターンが増えてくると思われます。

還付のための確定申告であれば原則5年以内に行えば問題ありませんが、納付のための確定申告であれば期限は令和7年3月17日(15日が土曜日のため)となるため、遅れると無申告状態になったり、延滞税などが課されてしまうことになるので注意が必要です。

給与所得と事業所得(または不動産所得)がある場合

会社員として給料を得ながら副業で事業を行っていたり、サラリーマン大家など、給与所得の他に事業所得・不動産所得がある方については、2つのパターンがあります。

一つ目は事業所得や不動産所得の金額が少なく、予定納税を行っていないパターンです。

この場合は給与所得のみの場合と同じく、主たる給与(甲欄)の支払者のもとで定額減税を行い、年末調整を経て最終的に確定申告により精算されます。

二つ目は事業所得や不動産所得の金額が多く、予定納税が必要なパターンです。

個人事業主で予定納税が生ずる場合、定額減税は予定納税額から行うことになっているため、給与の支払者において月次減税を行うと、定額減税を重複して適用することになります。これも前述の「給与+年金」と同様に、どちらか一方で定額減税を行うことを選択できないため、給与支払者のもとで月次減税を受けるとともに、予定納税額からも定額減税が行われます。そのうえで、過大に控除された部分については令和6年分の確定申告により精算されることになります。

二つ目のパターンについては、国税庁のQ&Aにも記載がなかったため、所轄の税務署にて確認した情報になります。したがって、後日変更があった場合は改めてお知らせいたします。

その他の組み合わせ

公的年金と事業所得(または不動産所得)があるパターンは、「給与所得と事業所得(または不動産所得)がある場合」と同様に公的年金に係る源泉徴収税額から定額減税を行うとともに、事業所得等に係る予定納税が生ずる場合には、予定納税額からの定額減税も行われるため、必ず確定申告を行って重複分を精算しなければなりません。

また、給与所得と公的年金に加え、事業所得と不動産所得もあり、予定納税も生ずる場合は、給与・公的年金・予定納税全てで定額減税が行われ、確定申告により精算することになります。

本当にこれでいいの?と頭を傾げてしまいますが、現状で公開されている情報からはこのような取り扱いとなります。したがって、今後変更や修正が行われる可能性はあると思いますので、新たな情報が公開され次第、皆様にお伝えしたいと思います。

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