令和6年6月から始まる所得税の定額減税のやり方について(給与事務担当者向け)

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令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について

令和6年1月19日付けで、財務省・国税庁連名で「令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について」という、今回の税制改正に当たっての実施要領案が公開されました。

なお、この資料については、給与事務担当者が少しでも早く定額減税の事務処理に着手できるよう予め周知・広報するものなので、今後詳細について変更があるかもしれない点に注意してください。

なお、定額減税の概要については、過去の記事を参照してください。

複数の会社から給与を支給されている場合

今回の定額減税は、主たる給与の支払者のみが行うこととされているため、複数の会社から給与の支給を受けている場合は、メインの会社(一般的には「給与所得者の扶養控除申告書」を提出している会社)で定額減税を行ってもらうとともに、念のためにメインではない会社の給与担当者にも、他の会社で定額減税を受ける旨を伝えておくほうが良いでしょう。

定額減税の実施方法

対象者

令和6年6月1日において、主たる給与等の支払いを受ける者

なお、令和6年6月1日より前に退職・国外転出・死亡している場合は、源泉徴収による対応は不要です。

対象となる給与等

令和6年6月1日以後最初に支給される給与等

なお、給与等には賞与を含みますが、退職手当は控除の対象に含まれません。

配偶者や扶養親族の確認方法

計算に必要な配偶者や扶養親族の把握については、令和6年6月1日以後最初に支給される給与等の支給日までに提出された扶養控除等申告書に記載された情報に基づいて行います。

なお、定額減税の実施のために改めて扶養控除等申告書の提出を求める必要はありませんが、15歳以下の扶養親族について、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」蘭に記載がない場合は、新設される「源泉徴収に係る申告書」を6月以降最初の給与支給日までに提出することとされています。併せて、扶養親族については共働き夫婦間で二重取りにならないよう注意してください。

扶養控除等申告書に配偶者情報が記載されていない場合(注)は、新設される「年末調整に係る申告書」を提出してもらい、年末調整時に控除することとします。ただし、前述の「源泉徴収に係る申告書」を提出した場合は、毎月の給与のタイミングで定額減税を行うことができます。

(注)従業員本人の所得金額が900万円を超える場合などは、同一生計配偶者が居たとしても、扶養控除等申告書に記載されません。

給与明細・源泉徴収票への記載事項

給与明細

毎月の給与で定額減税を行う場合は、給与明細の摘要欄などに、以下の例を参考に定額減税の内容を記載します。

(例1)定額減税額(所得税)●●●円
(例2)●月度給与に係る定額減税 ●●円(実施累計●●円) など

給与明細に記載することができない場合は、別紙の添付などで対応しても構いません。また年末調整で定額減税を行う場合は、源泉徴収票にて定額減税額を把握することができるため、毎月の給与明細への記載は不要となります。

源泉徴収票

源泉徴収票の摘要欄等に以下の事項を記載します。

  1. 所得税の定額減税の控除済みの額
  2. 年末調整で控除しきれなかった額
  3. 合計所得金額が1,000万円超である従業員等の同一生計配偶者(非控除対象配偶者)分の特別控除を実施した場合、その旨(該当者のみ記載)

(記載例)
・源泉徴収時所得税減税控除済額●●円
・控除外額●●円
・非控除対象配偶者減税有

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