少額減価償却資産の処理は完璧ですか?

中小企業者や個人事業者に対する税務上の優遇規定はたくさんありますが、その中でも使い勝手が良い代表的な規定が、『少額減価償却資産の特例』です。

少額減価償却資産の特例とは、

 ① 青色申告書を提出する中小企業者または個人が
 ② 取得価額が30万円未満の減価償却資産を
 ③ その事業年度または年中の合計額が300万円まで

購入した場合には、固定資産として資産計上せずに、消耗品費等の経費として処理してもいいですよ、という制度です。

ちなみに、30万円未満の判定については、税込経理を行っている場合には税込金額で、税抜経理を行っている場合には税抜金額で判定します。

さて、中小企業やフリーランスには大変ありがたい制度ですが、申告する際必要な手続きを踏まないと適用できなくなることをご存知でしょうか?

法人であれば、適用しようとする事業年度の確定申告書に、『少額減価償却資産の取得価額に関する明細書』と『適用額明細書』を添付することが要件となっています。

弊所では、他の税理士さんから替わってこられるお客様が多いですが、その申告書を拝見すると、これらの明細書が添付されていないことが非常に多いです。『少額減価償却資産の特例』は租税特別措置法という法律により定められたものですが、これらは特別な法律であるため、適用に際しては適用を受ける旨の記載と明細書の添付が絶対条件となります。

では、これらの明細書の添付がなかったらどうなるのでしょうか?

国税庁が発行している『適用額明細書の記載の手引』にはこのように書かれています。

「適用額明細書」の添付がなかった場合又は添付があっても虚偽の記載があった場合には、法人税関係特別措置の適用が受けられないこととされています。
そのため、「適用額明細書」の添付漏れ又は適用額の記載誤り等があった場合には、できるだけ速やかに、「適用額明細書」の提出又は誤りのない「適用額明細書」の再提出をお願いします。

一見すると、『忘れたらあとから出せばいいや』と思われるかもしれませんが、これは宥恕規定といって、あくまでも提出されなかったことについてやむを得ない事情があったと税務署長が認めた場合に考慮してもらえるといったものなので、必ず提出するようにしましょう。

なお、個人の場合には『適用額明細書』を提出する必要はありませんが、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要とされています。
ただし、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、当該少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。

 ① 少額減価償却資産の取得価額の合計額
 ② 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
 ③ 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨

このように、少額減価償却資産の特例については申告時にクリアしないといけないハードルがあるため、それらを失念しないように、弊所ではお客様にこのような提案を行っております。

『会計ソフトの販売費及び一般管理費または必要経費に、「少額減価償却資産」という科目を設定し、10万円以上30万円未満の資産はすべてこの科目で処理すること』

え、そんなこと?と思われるかもしれませんが、経験上、これが一番確実でわかりやすい方法だと実感しております。少額減価償却資産は、法人税や所得税といった国税だけではなく、地方税である償却資産税の申告にも関わってきますので、独立した勘定科目で処理することにより、確実に申告が行えると思います。

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士