ChatGPT・Google Gemini利用料は仕入税額控除できる?|仕訳例・インボイス対応・2025年の変更点を解説

国外の法人が提供するサービスに係る請求書は基本英文です。「OpenAI」や「Google」から届く英文請求書を前に「よくわからないけど、これって経費で落とせるの?」と迷う方も多いでしょう。本記事では生成AIの中でも特に利用者の多い「ChatGPT」や「Google Gemini」を例に、消費税処理・インボイス対応・仕訳例などを整理していきたいと思います。

目次

ChatGPTとGoogle Geminiの利用料を経費処理する前に知っておく3つの基本

この章で扱う主なポイント
  • 海外サービス利用料は消費税の課税対象になる?
  • リバースチャージ方式と仕入税額控除の基本ルール
  • インボイス制度と海外事業者の請求書の位置づけ

ChatGPTやGoogle Geminiの利用料を処理するには、まず「海外サービス課金と日本の消費税」の基本を押さえる必要があります。理解していれば、仕訳ミスや控除漏れを防げます。

海外サービス利用料は消費税の課税対象になる?

海外事業者のクラウドサービス利用料も、日本国内で事業を行う者が利用すれば「国内取引」として消費税の課税対象になります。よくある誤解は「海外からの請求だから非課税」というものですが、実際には消費税法によりリバースチャージの対象とされ、利用者に納税義務が生じます。

リバースチャージ方式と仕入税額控除の基本ルール

海外事業者のデジタルサービス提供では、利用者が自ら消費税を計算する「リバースチャージ方式」が採用されます。通常は仕入税額控除により納税額は相殺されますが、免税事業者や簡易課税を選択している場合は控除できず、その分が負担になります

処理例
  1. 海外サービスを利用(例:月額20ドルを米国法人からカードで購入)
  2. 利用者が日本円に換算して消費税額を算出(例:20ドル=3,000円、消費税300円)
  3. 帳簿上で「課税売上」と「課税仕入」を同額計上
     支払手数料 3,000円 / 未払金  3,000円
     仮払消費税  300円 / 仮受消費税 300円
  4. 相殺処理により実質納税はゼロ
     ※免税事業者・簡易課税は控除不可

👉 ポイントは「仮受消費税と仮払消費税を同額計上して打ち消す」ことです。課税事業者なら負担は中立的ですが、免税事業者は納税が必要になります。

インボイス制度と海外事業者の請求書の位置づけ

インボイス制度では仕入税額控除にインボイスが必要ですが、海外事業者は原則登録できません。ただし、リバースチャージ取引に限り番号がなくても控除が認められます。

補足
  • ChatGPT(OpenAI, L.L.C.)は2025年1月からインボイス登録(番号:T4700150127989)がされているため、同日以降は通常の課税仕入処理が可能です。
  • Google Gemini(グーグル合同会社)は従来から日本法人経由で請求(番号:T1010401089234)しているため、こちらも課税仕入処理が可能です。

ChatGPT利用料の税務処理で注意すべき3つのポイント

この章で扱う主なポイント
  • 請求書の発行元とインボイス対応状況
  • ChatGPT Plus/Team利用料の仕訳例
  • 課税仕入処理の注意点とリスク回避

ChatGPTの利用料は2025年以降インボイス対応になりましたが、過年度分との処理区分を誤らないことが重要です。

請求書の発行元とインボイス対応状況

ChatGPTの請求書は米国法人(OpenAI, L.L.C.)から発行されます。2024年まではリバースチャージ処理が必要でしたが、2025年以降はインボイス番号付き請求書に基づき通常の課税仕入処理が可能です。

参考

OpenAI Japan合同会社との関係
OpenAIには日本法人(OpenAI Japan合同会社)と米国法人(OpenAI, L.L.C.)がありますが、請求書を発行しているのは米国法人です。実務上は米国法人発行のインボイス番号(T4700150127989)に基づき処理します。


ChatGPT Plus/Team利用料の仕訳例

2024年12月以前(税抜経理)

  • 通信費   3,000円 / 未払金  3,000円
  • 仮払消費税  300円 / 仮受消費税 300円

2025年1月以降(税抜経理)

  • 通信費   3,000円  / 未払金  3,300円
  • 仮払消費税  300円

(税込経理の場合は「通信費3,300/未払金3,300」で処理可能)

勘定科目は「通信費」「支払手数料」「ソフトウェア利用料」などが一般的です。社内で統一しておきましょう。

課税仕入処理の注意点とリスク回避

  • 請求書(電子データ)を必ず保存
  • 2024年以前と2025年以降で処理を区別
  • 勘定科目を統一
  • 会計ソフトに正しく登録

👉 ChatGPTの請求書は電子交付が基本です。電子帳簿保存法に従い、検索性や改ざん防止要件を満たす形で保存することが必要です。

Google Gemini利用料の税務処理で見落としがちな3つの論点

この章で扱う主なポイント
  • Googleアカウント課金と消費税処理の関係
  • Gemini Advancedの料金と消費税表示
  • Gemini利用料の仕訳例

Geminiは日本法人が課金主体のため、インボイス番号付き請求書が発行され、国内取引としてシンプルに処理できます。

Googleアカウント課金と日本法人の関係

法人アカウントで課金される場合、発行元はグーグル合同会社(T1010401089234)です。この場合は課税仕入として処理可能です。ただし、海外アカウント設定や特殊な決済方法ではリバースチャージ対象になることもあるため、課金元の確認が欠かせません。

Gemini Advancedの料金と消費税表示

Gemini Advancedは日本円建てで課金され、請求書には消費税額が明確に表示されます。税込か税抜+消費税の表記かを確認し、会計ソフトの税区分を正しく設定することが大切です。

Gemini利用料の仕訳例

税抜経理

  • 通信費   3,000円 / 未払金  3,300円
  • 仮払消費税  300円

税込経理

  • 通信費  3,000円 / 未払金  3,300円

広告費や他のGoogleサービス利用料と混ざりやすいため、Gemini用に勘定科目を分けておくと便利です。

フリーランス・中小企業が今すぐ取るべき3つのアクション

この章で扱う主なポイント
  • 請求書を保存・整理する
  • 勘定科目を統一して登録する
  • 税理士に確認してリスクを最小化する

請求書を保存・整理する

電子データの請求書は、電子帳簿保存法に対応して保存しなければなりません。

勘定科目を統一して登録する

「通信費」「ソフトウェア利用料」など、社内で科目を統一すると処理が効率化します。

税理士に確認してリスクを最小化する

処理に迷った場合は、早めに専門家へ相談することが追徴課税を避ける最善策です。

まとめ

AIサービス利用料の処理は、インボイス制度や電子帳簿保存法と直結しています。クラウド会計を併用することで、法令に基づいた請求書の保存や仕訳の自動化を行うことも可能となるため、今すぐ自社の処理状況を点検し、必要があれば税理士に相談するとよいでしょう。

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