サラリーマンでも確定申告が必要な場合
サラリーマンの方は、会社などで年末調整を行ってもらうだけで原則として確定申告をする必要はないのですが、以下のようなケースでは、サラリーマンの方でも確定申告を行う必要があります。
- 年間の給与収入が2千万円を超える人
- 2か所以上から給与を得ている人
- 年の途中で退職して再就職していない人
- 副業による所得が20万円を超える人
- 不動産の譲渡や保険の解約などで一時的に利益が発生した人
また、以下に掲げるような年末調整では処理できない控除などがある場合も、確定申告をすることで、税金の還付を受けることができます(還付申告)。
- 台風等による災害や、空き巣などの盗難に遭われた場合の控除(雑損控除)
- 原則として10万円を超えるような医療費がある場合の控除(医療費控除)
- ふるさと納税などの寄付をした場合の控除(寄付金控除)
- 住宅ローンで家を建てた場合の初年度の控除(住宅ローン控除)
ただし、ふるさと納税については寄付先の自治体の数が5団体以内に限り、「ふるさと納税ワンストップ特例申請」を行うことで、所得税の確定申告書の提出が不要になります。住宅ローン控除については初年度のみ確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整により控除を受けることができるので、確定申告は不要になります。
ふるさと納税における「ワンストップ特例制度」とは?
先に述べたように、ふるさと納税をした場合、確定申告をしないと控除を受けることができないのですが、次に掲げる要件に当てはまる方については、「ワンストップ特例申請」を行うことで、確定申告をする手間を省くことができます。
- 確定申告や住民税申告をする必要がない給与所得者である(一般的な会社員であればOK)
- ふるさと納税以外に確定申告または住民税の申告をする必要がない
- 寄付先の自治体の数が年間で5団体以内である(同じ自治体に複数回寄付しても1つとします)
これらに当てはまる場合には、必要事項を記載した「ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」を寄付を行った自治体宛に郵送するか、アプリ等でオンライン申請することにより、寄附金控除の手続きすることができます。
なお、ふるさと納税の手続きを所得税の確定申告により行う場合は、寄付をした金額に応じて所得税の還付および住民税の控除が行われますが、ワンストップ特例制度を利用した場合には、所得税側で控除(還付)は行われず、所得税も住民税とまとめて住民税側で控除されます。
確定申告書を提出した場合の注意点
ふるさと納税についてワンストップ特例制度を利用している方が、医療費控除など他に確定申告を行う必要が生じた場合には、所得税の確定申告書を提出することにより、ワンストップ特例制度の効力は失われてしまうので注意してください(寄付をした各自治体にワンストップ特例申請書をすでに提出している場合でも同様に失効します)。
実際の事例を見てみると、確定申告書を提出してもワンストップ特例制度が適用されていると勘違いをされている方が非常に多く、確定申告書の「寄付金控除」の欄に改めてふるさと納税の情報を記載することを失念しているケースが見られます。
身に覚えのある方は、過去5年分であれば「更正の請求」の手続きをすることで、収めすぎた税金を取り戻すことができます。令和5年分の確定申告が始まる前に、過去の確定申告書を必ずチェックするようにしてください。