インボイス制度:「適格請求書発行事業者公表サイト」の公表情報を変更するには?

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インボイスの登録申請をすると…

インボイス番号の登録申請を終えると、その登録情報は国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に公開され、そこに登録番号を入力すると、誰でも登録内容を検索することができます。

登録情報を検索するためにはインボイスの登録番号が必要ですが、法人であれば、法人番号の最初にアルファベットの「T」を付けたものがインボイスの登録番号になるため、法人番号が分かれば、自動的にインボイスの登録情報を検索することが可能になります。

その法人番号は、同じく国税庁の「法人番号公表サイト」から誰でも検索することができるので、結論として法人の場合は、法人名さえ分かればインボイス番号とその登録内容を知ることができるということになります。

一方個人事業主の場合、個人名や屋号からインボイス番号を検索することができないので、その事業者がインボイス登録事業者かどうかは、直接確認しないとわかりません。

「適格請求書発行事業者公表サイト」に記載される情報

適格請求書発行事業者公表サイトには次のように「登録番号」「氏名又は名称」「登録年月日」「最終更新年月日」の4項目と、公表してからの履歴情報が掲載されます。なお、法人の場合はこれらに加えて「本店又は主たる事務所の所在地」が掲載されます。

「適格請求書発行事業者公表サイト」に記載される情報に変更があった場合

適格請求書発行事業者公表サイトに掲載されている事項に変更があった場合、以下の手順により変更の手続きを行う必要があります。

  1. 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を納税地の所轄税務署に提出します。
    (住所変更した場合は、変更後の住所を所轄する税務署に提出)
  2. 登録事項に変更が生じた後速やかに提出します。
  3. 法人の場合、これとは別に「異動届出書」を提出する必要がありますが、変更事項が「名称」又は「本店又は主たる事務所の所在地」であれば、異動届出書の提出のみで、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書を提出する必要はありません。

個人事業主が公表事項を変更するとき

個人事業主が次に掲げる事項を公表事項に新たに「追加」したり、すでに公表されている事項を「変更」する場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出する必要があります。

  1. 「住民票に併記されている外国人の通称」の追加・変更
  2. 「住民票 に併記されている旧氏(旧姓)」の追加・変更
  3. 個人事業者等の「主たる屋号」や「主たる事務所の所在地」の追加・変更

個人事業主は必ず「本名」が掲載されます

請求書に記載されたインボイス番号が正しいかどうかは、この適格請求書発行事業者公表サイトで検索することで確認できますが、個人事業主の場合、検索することで必ず本名がわかってしまいます。私のように名前を知られても問題のない職業であれば良いのですが、作家やミュージシャン、漫画家やYouTuberなどペンネームやビジネスネームで活動されている方にしてみれば、本名がわかってしまうのは恐怖でしかないはずです。

また、これらの職業の方からインボイスを受領した場合、記載されたインボイス番号で検索しても、ビジネスネームではなく本名しか記載されていなければ、そのインボイス番号が正しいものかどうか判断できない事態が生じてしまいます。

このような状況を回避するためには、上記の「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出して、屋号を追加し、本名と屋号を紐づけて表示させる必要があります。

ビジネスネームで活動されている方は「身バレ」に注意

屋号(ビジネスネーム)のみを掲載し、本名を非公開にできればいわゆる「身バレ」を防ぐことができるのですが、現在の仕組みでは、個人事業主の本名は必ず掲載されてしまいます。

これを防止する手立ては今のところないのですが、どうしても身バレしたくないという方については、以下の2つの選択肢があります。

インボイスの登録をしない

身もふたもない事ですが、インボイスの登録をしないデメリットよりも身バレすることのデメリットのほうが大きいのであれば、インボイスの登録をしないという選択があります。

匿名で活動する業界はこのような事態に対する理解はある方だと思いますので、インボイスの登録をせず、最悪価格交渉をすることで対処するほうが効果的かもしれません。

法人を設立する

全く別の名前の法人を立ち上げ、その法人の従業員という立場でビジネスネームで活動することができます。もちろんビジネスネームをそのまま法人名にすることもできます。

ただし、法人の場合本店所在地も公開されてしまうため、自宅住所を本店所在地にすると、今度は「住所バレ」してしまいます。したがって、レンタルオフィスなどを契約し、そこを事務所として本店登録するようにしましょう。また、取締役などの役員に就任してしまうと、登記情報から役員の氏名がわかってしまうので、こちらも注意してください。

最後に

2022年9月までは、国税庁のサイトからインボイス登録した個人事業主の氏名一覧をダウンロードすることができたのをご存知でしょうか?その後は声優や作家など本名を明かさずに仕事をしている人たちから「身バレにつながる」と批判する声を受けて、氏名や屋号は表示されないようになりましたが、これについても、エクセルの関数を少しいじってやれば復元できるとの情報もあるようです。

政府の情報対策に携わっている方々は、皆昭和生まれの方ばかりなのでしょうか?私もゴリゴリの昭和生まれですが、そんな私が見てもザルすぎる対策ばかりで呆れてしまう今日此の頃です。

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