令和2年(2020年)分の年末調整に影響する改正項目を確認しよう!

早いもので今年も残すところ2ヶ月を切ってしまいましたが、この時期、経理担当の方々はなんとなく憂鬱な日々を過ごされているのではないでしょうか?

その理由はもちろん「年末調整」。

年末調整は誰にとっても面倒なことしかありませんので、社員さんに各種書類の記載をお願いするのも、経理課からあれこれ指示されるのも、どちらの立場からでも不平不満が出てしまいがちです。

そんな毎年恒例の年末調整ですが、今年は色々と改正される項目が多いので、担当者は十分に注意してください。

令和2年分年末調整の主な改正項目

令和2年分年末調整の主な改正項目は以下のとおりです。

  1. 給与所得控除の引下げ
  2. 基礎控除額の引上げ
  3. 所得金額調整控除の創設
  4. 配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

給与所得控除額の引下げ

給与等の収入金額給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

お給料の金額から経費的に控除される給与所得控除額ですが、2020年1月以降は一律で10万円ずつ引き下げられます。

さらに、上限額が適用される場合の収入金額が、「1000万円超」から「850万円超」に引き下げられ、控除の上限額も220万円から195万円に引き下げられました。

ただし、給与所得控除額が10万円引き下げられたかわりに、基礎控除が10万円引上げられたので、結果として互いに相殺され、年収が850万円を超える人以外はほとんど影響はありません。

基礎控除額の引上げ

納税者本人の合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

基礎控除というのは、全ての納税者に平等にあるから基礎控除だと思っておりましたが、今回、高額所得者には基礎控除がゼロという、納税者側の負担が増える改正となりました。

この基礎控除の額を判定するにあたって、令和1年までは配偶者(特別)控除を受けるときのみ申告が必要だった「給与以外の収入」について、ほぼ全ての納税者について申告が必要になることになりました。

所得金額調整控除の創設

上記給与所得控除額が改正されたことにより、年収850万円を超えるサラリーマンの方々は結構な税負担増となりますが、子育てや介護世帯の税負担を増やさないようにと、一定の要件を満たす場合には、この改正により一律で引下げられた10万円を超える引下げの影響を受けないようにするため、所得金額調整控除制度が新設されました。

適用要件

その年(令和2年)の給与額面収入が850万円を超えるサラリーマンで、次の①から④のいずれかに該当すること。

  1. 本人が特別障害者に該当する場合
  2. 特別障害者である同一生計配偶者を有する場合
  3. 特別障害者である扶養親族を有する場合
  4. 年齢23歳未満の扶養親族を有する場合

所得金額調整控除額

(給与等の収入金額【1,000万円超の場合は1,000万円】- 850万円)×10%
※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除の適用を受けるには、年末調整もの際に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。

これを受けて、今年から配偶者控除等申告書と兼用する形で、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という長いタイトルの申告書になりましたので、注意してください。

配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直しについては、「給与所得控除額の引下げ」と「基礎控除の引上げ」に伴う、各種所得控除を受けるための扶養親族等の所得要件が引き上げられていますが、給与所得以外の所得がない場合には、特に影響はありません。