医療費控除の対象となるかの判断基準
医療費控除の対象となるかどうかは個々に判断されるものですが、判断基準としては概ね「治療」に係るものは控除対象、「美容」「予防」に係るものは控除対象外となります。
また、治療に必要となる器具なども医療費控除の対象となるものがありますが、メガネやコルセットなど、治療というよりは日常生活の補助的な性格の器具は対象となるのかどうか、判断が難しいものもあります。
日常的に身につける医療補助器具
メガネや補聴器など、日常的に身に着けている医療補助器具が医療費控除の対象となるか見ていきましょう。
かつら
医療用ウィッグを含め、かつらは医療費控除の対象となりません。抗がん剤治療を行う患者が購入する医療用かつらであっても控除対象にならないので注意しましょう。
メガネ・コンタクトレンズ
一般的な近視・遠視・老眼の強制のためのものであれば医療費控除の対象になりません。ただし、以下のような症状につき、医師の治療を受けるために直接必要なものであれば医療費控除の対象になります。
- 弱視
- 斜視
- 白内障
- 緑内障
- 難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)
また、治療が行われていることを証明するために、所定の処方箋に、医師がこれらの疾病名と治療を必要とする症状を記載する必要があります。
補聴器
医師による診療や治療などのために直接必要な補聴器の購入のための費用で、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となります。
具体的には、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医を受診して、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」により補聴器が診療等のために直接必要である旨を証明している場合は、医療費控除の対象になります。
入れ歯
歯科医師による診療や治療を受けるために直接必要な入れ歯(義歯)は医療費控除の対象になります。
ただし、ホワイトニングや健康診断、歯石除去など、美容や予防に掛かる費用は対象外となります。
コルセット・サポーター
医師等による診察や治療を受けるために直接必要な治療用コルセットや治療用サポーターは医療費控除の対象となりますが、予防のためのものや自己判断で購入したものは対象となりません。
おむつ
傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている者のおむつ代は、医師による治療を受けるため直接必要な費用として、医療費控除の対象となります。なお、この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要となります。
おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。