2か所以上から給与の支給を受けている場合
複数の事業所から給与の支給を受けている場合、主たる給与の支給を受けている会社等に「扶養控除等申告書」を提出し、源泉徴収税額表の「甲欄」を適用して源泉徴収がされていると思います。
この主たる給与の支給を受けている会社以外の事業所には、「扶養控除等申告書」を提出せず、よって源泉徴収税額表の「乙欄」を適用し、源泉徴収されることになりますが、このように複数の事業者から給与の支給を受ける方については、主たる給与の支払者のもとでのみ定額減税の処理が行われることになっています。
年末調整についても、甲欄が適用されている主たる給与の支払者のもとで行われますので、月次の段階で控除しきれなかった金額も年末調整により精算されます。
なお、精算しきれない金額がある場合は、確定申告を行うことで、最終的に精算されることになります。
日雇賃金など丙欄が適用されている場合
日雇賃金や2ヶ月以内の短期アルバイトの方については、源泉徴収税額表の「丙欄」が適用されますが、このような方は給与の支払者のもとで定額減税を受けることはできません。
したがって丙欄適用者については、令和6年分の確定申告書を提出することで定額減税の適用を受けることができます。
ただし、日雇から月給に変更されたり、短期アルバイトの期間が延長または雇用契約が結ばれるなど、甲欄が適用されることになった場合には、甲欄が適用される時期により以下のように取り扱います。
- 令和6年6月1日以前に甲欄適用者になった場合
・・・その支払者のもとで月次減税を行います。 - 令和6年6月2日以降に甲欄適用者になった場合
・・・月次減税は行われませんが、その支払者のもとで年末調整により定額減税を行います。
令和6年中に転職した場合
定額減税は、令和6年6月1日時点で在職している従業員(「基準日在職者」といいます)に対して行われますので、退職、就職がどのタイミングで行われたかにより対応が異なります。
令和6年5月31日までに退職した場合
令和6年5月31日までに退職し、その後再就職しなかった場合は令和6年分の確定申告で定額減税が行われます。
退職後、令和6年6月1日までに再就職し、その会社に扶養控除等申告書を提出(甲欄)した場合には、基準日在職者に該当することになるので、その会社で月次減税が行われ、年末調整を経て最終的に精算されます。
退職後、令和6年6月2日以降に再就職した場合には、基準日在職者に該当しないため月次での定額減税は行われませんが、扶養控除等申告書を提出している場合には、その会社において年末調整時に定額減税が行われることになります。
令和6年6月1日以降に退職した場合
令和6年6月1日以降に退職した場合でも、退職した会社においては基準日在職者に該当することになるため、退職した月まではその会社で月次減税が行われることになります。もしもその後再就職しなかった場合、控除不足分については令和6年分の確定申告により精算することになります。
退職後、令和6年6月2日以降に再就職した場合、再就職した会社においては基準日在職者に該当しないため月次減税を行うことはできませんが、扶養控除等申告書を提出することで、再就職先の会社で年末調整により定額減税が行われます。なお、退職した会社において月次減税が行われていた場合、この年末調整により精算されることになります。