定額減税:令和6年中に子供が生まれた場合

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毎月の給与計算は?

令和6年中に従業員に子供が生まれた場合、毎月の給与計算に影響はあるのでしょうか?

毎月の源泉徴収事務は、各年分の「源泉徴収税額表」に記載された概算の所得税額を基に行われますが、この源泉徴収税額は、同じ給与金額でも配偶者や扶養親族の数によって変動します

年の途中で出産により扶養親族が増えた場合、原則的には出産前の源泉徴収税額を継続して控除し、年末調整時に扶養親族等の変動を考慮して、税額を確定し、還付または徴収の手続きを行います

これは、扶養控除の要件として「その年12月31日の現況により判断する」とあることから、年の途中で細かく源泉徴収税額を変更するのではなく、確定した情報をもとに年末調整で精算するのが一番確実なためですが、年の途中で扶養状況の変動に合わせて源泉徴収税額を変更してはならないという決まりはありませんので、それぞれの会社において、一番やりやすい方法を選択すればよいと思います。

なお、今回取り上げている「年の途中でこどもが生まれた場合」という理由であれば、16歳未満の扶養親族は「年少扶養親族」として扶養控除の対象にならないことから、毎月の源泉徴収の判定の基礎となる扶養親族に数えられず、結果として出産前後の源泉徴収税額に変更は生じません

ただし、生まれた子供に障害があり、障害者控除の対象になることが明らかであれば、16歳未満の子供でも扶養親族1人として数えられ、さらにその子供が特別障害者で同居している場合には、扶養親族2人として数えられます

このような場合には、少しでも早く源泉徴収税額を変更することで、その従業員の手取額が増えることになるため、柔軟に対応してあげるのが良いと思います。

所得税の定額減税事務は?

原則として、令和6年6月以降最初の月次減税を行う日までに出産し、生まれた子どもの情報を追加した「給与所得者の扶養控除等申告書」を再提出するか、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」を給与の支払者に提出することで、6月から始まる定額減税に反映させることができます

なお、令和6年6月以降最初の給与の支払日以降に出産した場合は、その後の月次処理に反映させることができないため、令和6年分の年末調整で精算されることになります

毎月の源泉徴収税額表を適用する際の扶養親族の考え方と、定額減税における扶養親族の考え方は少し異なり、定額減税では16歳未満の扶養親族でも減税の対象となるため、出産により扶養親族が増えた場合は、とりあえず給与の支払者に扶養親族が増えた旨伝えることを忘れないようにしましょう。

住民税の定額減税は?

令和6年中に子供を出産した場合、住民税における定額減税の加算対象になりません。住民税は1年前の所得を基準に算定されるため、令和6年6月から課税される「令和6年度個人住民税」は令和5年度の所得および所得控除額により計算されたものとなります。

そのため、令和6年中に出産により扶養親族が増えたとしても、定額減税が実施される「令和6年度個人住民税」に反映させることができず、またこの新しい扶養親族を反映させた「令和7年度個人住民税」ではそもそも定額減税は実施されないため、令和7年度でも対応できません。また、差額給付的な扱いもできないため、結果としてどこにも反映されないということになります。

最後に

住民税の対応については、全国の10市区町村ほどに問い合わせしてみましたが、いずれも救済策はないとのことでした。改めてこのような欠陥だらけの制度を強行した政府には呆れるばかりです。。

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