京都市内でゲストハウスを経営するのは危険?「町家の宿バブル」に警戒感

国土交通省は9/18に、今年7/1時点の全国の基準地価を発表しました。

京都府内の基準地価は、商業地の平均上昇率が前年比1.8ポイント増の7.5%となり、都道府県でトップ・上げ幅は5年連続で拡大しました。

また、2018年公示地価(商業地)における地価上昇率の3位と4位に、京都市JR京都駅周辺(3位)、八坂神社周辺(4位)がランクインしています。

やはりというか、鉄道のターミナルや有名観光地に近いエリアは、軒並み高い上昇率となっており、もはや京都市民がこれらのエリアに住居を構えることは不可能となってしまいました。

ではこれらの地価を支えているのは一体誰なのか?

やはりといいますか、訪日観光客の堅調な増加に支えられた宿泊業、特に町家を活用したゲストハウスの開発業者でしょう。

最近では、外国の方がオーナーとなり、そのオーナーの出身国の方を専門に宿泊させるタイプのゲストハウスが増えてきました。

入れ物は京町家ですが、オーナーも利用者も外国人という、同じ町内の者としたらなかなかに厄介な代物が増加してきたわけです。

皆さんも外国に行かれたら感じると思いますが、その国の雰囲気は満喫したいけれど、宿に帰ってまであれやこれやとその国のルールを押し付けないでくれ、という感覚。

外国の方にしてみれば、京町家の宿にはあまりにも守るべきルールが多すぎて嫌になる、というのも自然な流れだと思います。

朝夕と、息子を保育園に送り迎えするために、今出川~三条間をママチャリでほぼ毎日往復しておりますが、町家の前にトラックが停まってたりすると、ほぼ間違いなくゲストハウスへの改修工事だったりします。

どう考えても供給過剰だと思われるのですが、都会や外国の事業者にしてみれば、「まだまだいける」と感じるのでしょうね。

日本政府や京都市は、観光を「成長産業」と位置づけ、それを受けた事業者はさらなる需要拡大を見込んで強気の開発を続けていますが、もはや京都市内は、「町家の宿バブル」がいつ崩壊するか、といった時期に差し掛かっていると思われます。

京都市の中でも、規制がゆるく比較的開発しやすい南区では、京都駅に近い、外国人に絶大な人気を誇る伏見稲荷大社が近いなどの理由から、爆発的に宿泊施設が増えています。

京都市がこのエリアにおいて、2017年中に旅館業法に基づき開業を許可した宿泊施設は925件に上り、前年から280件(43.4%)増えました。

とりわけ急増しているのは、町家を改装したゲストハウスとバックパッカーズホステルなどの簡易宿所で、京都市内の簡易宿所は2017年末時点で計2,055施設。うち8割の1,677施設が2015年~2017年の3年間に開業しました。

こうした小規模な宿の開発を支え、京都市中心部の地価上昇の一因となってきたのは、加熱する国内外の投資マネーです。

クラウドファンディングなども参入し、「京都の宿泊施設への投資は高利回り」という雰囲気がここ数年加熱してきているように感じます。

地元金融機関の審査担当者も、「転売目的の投機的な開発」を懸念し、バブルを助長しかねない資金需要を慎重に見極めているそうです。

不動産や金融業界は、実需を上回るペースで大量供給される宿泊施設の動向を注視し始めました。

京都市における2020年の宿泊需要予測に対し、ホテルの客室供給量が11,000室以上も上回るという民間試算も発表されました。

高騰する地価と建設費の下で開発を進めた場合、景気後退局面に入ると一気に採算が悪化する可能性も否定できません。

公示地価の京都府代表幹事を務めた不動産鑑定士の森口匠氏は「ゲストハウスはこれから淘汰の時代に入るのではないか。地価をさらに上げるとは考えにくい」と指摘されています。

京都でゲストハウスを、とお考えの方、是非世良税理士事務所にご相談くださいませ。

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