京都市が施行した民泊条例のインパクトは思いのほか大きく、最近では京都市の町家バブルも沈静化に向かう傾向にあります(それでもまだまだお高いですが。。)
一方で、旅館業を営むのではなく、本当に生活するために京町家を購入したいと思っていた方にとっては、徐々にではありますが買いやすくなってくると思われます。
良い物件はどんどんなくなってきておりますので、本気でお考えの方は(まだまだ高値ですが)どうかお早めに。
ところで、新築一戸建てを購入する場合、どの銀行でも住宅ローンを組んでいただけると思いますが、京町家については、そもそも住宅ローンの審査に通らない事がほとんどだと思います。
その理由としては、物件としての担保価値がほぼ無いこと、耐震性や防火性に著しく乏しいこと、昭和25年以降の建築基準法に準拠していないことなど、挙げていけばキリがありませんが、どうかご安心下さい。私が実際に住んでいる町家も、築100年ほどの古い物件ですが、普通に住宅ローンが組めております。
京都独自の事情かもしれませんが、京都市の景観・町並み保全などの関係から、京都に拠点を持つ信用金庫などでは、京町家専門の住宅ローン商品を用意しているところがあります。
具体的には、私もお世話になっている京都信用金庫の京町家専用住宅ローン、『のこそう京町家』や、京都中央信用金庫の京町家専用住宅ローン、『京町家レジデンスローン』などが挙げられます。
どちらもローン上限額は一般の住宅ローンと同じく1億円で、融資期間も35年、もちろん団信も付いています。
一般の住宅ローンに無い条件として、以下のいずれかに該当する京町家が対象となっています。
① 公益財団法人 京都市景観・まちづくりセンターにより「京町家カルテ」が発行された住宅。
② 公益財団法人 京都市景観・まちづくりセンターにより「京町家プロフィール」が発行された住宅。
私は京町家カルテを事前に作成しましたが、費用は当時で3万円くらいだったかと思います(すいません、あやふやで。。)。
あとの融資条件や手続きは一般の住宅ローンと何ら変わりません。拍子抜けするくらい普通に融資していただけます。
ただし、最近では町家と謳っておきながら実際は普通の古民家だった、ということが結構ありますので、京町家カルテを作成する段階で却下される可能性もあります。物件選びはどうか慎重に行って下さい。
住宅ローンが無事審査を通過し、念願の京町家を購入されたとしても、税務上気をつけなければならない点がいくつかあります。
住宅ローンを組めば、当たり前のように住宅ローン控除(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)が受けられるとお考えの方が多いと思いますが、京町家の場合には、まず持って「新築」ではありませんので、中古住宅を取得した場合の要件を満たすかどうか確認しなければなりません。
…が、中古住宅の場合には、建築後20年(耐火建築物については25年)以内に取得したものであること、耐震基準に適合するものであること、という高いハードルがありまして、当然のことながら、多くが大正から昭和初期に建築され、現行の建築基準法に合致しない京町家は、ブッチギリで該当しないことになります。
なので、結論としては、『住宅ローンは組めるけど、住宅ローン控除は受けられない』ということになります。
いずれにしても、京町家は構造上問題のある物件がほとんどですので、高額な住宅ローンを組んで購入される場合には、事前に専門家によく相談してから判断するようにしましょう。ご相談をお待ちしております。