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売手が負担する振込手数料に係る「適格返還請求書」の取り扱い
売上代金について、振込手数料が差し引かれて入金されていた場合、原則として買手に対し「適格返還請求書(返還インボイス)」を交付する必要がありますが、銀行振込に係る手数料は多くても880円以下であり、適格返還請求書の交付義務が免除される1万円未満の取引となるため、取引の相手方から適格返還請求書の交付を求められたとしても、売手がそれを交付する義務はありません。
なお、これについては以下の記事を参照してください。
インボイス制度:売上金入金時に差し引かれる振込手数料の取り扱い
振込手数料は売手の負担?買手の負担?返還インボイスや勘定科目をどうするか解説します!
振込手数料値引を処理する際の注意点
食料品の卸売業などを営んでいる方が、軽減税率(8%)適用対象商品を販売した際、振り込まれた売上代金から振込手数料が差し引かれていたら、どのように経理処理すればよいでしょうか?
取引例
飲料卸売業を営むA社が小売店B社に対し、以下の取引を行いました。
11/20納品 500ml水✕480本セット:31,104円(8%軽減対象・税込)
12/10入金 30,884円(振込手数料220円控除後)
なお、消費税については税抜処理をしています。
【11/20販売時の仕訳】
スクロールできます
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 31,104円 | 売上高 | 28,800円 |
仮受消費税(8%) | 2,304円 |
【12/10入金時の仕訳】
スクロールできます
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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普通預金 | 30,884円 | 売掛金 | 31,104円 |
売上値引 | 204円 | ||
値引に係る消費税 (8%) | 16円 |
振込手数料を売上値引として処理する際は、その振込をする基となった取引に適用される税率と同じ税率が売上値引にも適用されることに注意しましょう。
また、経理上振込手数料値引を「支払手数料」や「雑費」として処理する方法を採用している場合、これらの勘定科目に係る会計ソフトの設定が「課税・10%」となっていることが多いので、気が付かずにミスをしていることがよくあります。振込手数料値引があった場合の処理科目については、消費税率を間違えないような設定を工夫する必要がありますね。