京都市の民泊条例成立。今後の民泊事業はどうなる?

平成30年2月23日、京都市議会において、民泊管理者に緊急時の駆け付けなどを義務付ける民泊条例が可決、成立しました。

観光客の増加で生活環境の悪化を懸念する住民の声を反映した規制を新たに盛り込んで、民泊新法に合わせて6月に施行されます。

さて、このお話をする前に、最近の京都市内の様子を少しだけ(私見ですが)お話したいと思います。

上記の表は、京都にお住まいの方ならお馴染みの京都市バス206系統(東廻り)の時刻表です。

京都市の市バスは結構複雑ですが、この系統はいわゆる「循環系統」と言われるもので、206系統はその中でも京都市内を大きく循環する最大級の系統です。

この206系統は京都駅を起点にした場合、反時計回りに循環する「東廻り」と、時計回りに循環する「西廻り」に別れます。

皆さん、この時刻表をよくご覧下さい。多いときで1時間に8本ほど運行されているのですが、それでも乗車するためには1時間近く待たなければなりません。

なぜそんなに待ってまでこの系統を利用するかというと、この206東廻り系統は、京都の錚々たる観光地や世界遺産となった寺院をなぞるように運行されているからなんですね。

ちなみに、京都駅を出発すると、こんなところに行けちゃいます。

・京都国立博物館
・三十三間堂
・智積院
・豊国神社
・大谷本廟
・清水寺
・二寧坂~三寧坂
・法観寺
・高台寺~圓徳院
・石塀小路
・六道珍皇寺
・安井金比羅宮
・建仁寺
・祇園
・八坂神社
・知恩院
・青蓮院
・平安神宮
・京都大学・京大病院
・京都府立植物園
・大徳寺

キリがないのでこの辺にしておきますが、銀閣寺や金閣寺、北野天満宮や二条城、京都水族館などもバス停から徒歩圏内ですので、観光客にとってはとっても都合のいい路線なのがおわかりいただけると思います。

このような状況なので、以前から利用客は多かったんですが、ここ2~3年のこの路線は常軌を逸しています。

外国人観光客が爆発的に増加し、大きなキャリーバッグを抱えた人たちでバス停が大混乱。

どこが行列の最後かわからない有様で、1時間に8本の運行でも乗客の積み残しが多発。

当然地域住民は生活に多大な支障が生じ、正直『勘弁してくれ。。』といった状況です。

実は、京都駅から私の事務所に戻る際に利用する系統がこの206系統なのですが、幸い『西廻り』なので、少し並べばなんとか乗れます。

京都市民にとって市バスは大切な足。その市バスが利用できないとなると、高齢者や通学・通勤に大きな問題を抱えることになります。

また、京都は住宅街の中に当たり前のように観光寺院があり、また職住一致の地域も多いため、現在のような管理のゆるい民泊が増加すると、必然的に地域住民とのゴミ出しトラブルや騒音トラブルが増加することになります。

私が住んでいる西陣は京町家が多く残っており、それらを改装したゲストハウスが雨後の筍のように乱立しております。

正直申し上げると、マナーの悪い(というか、善悪の基準が異なる)観光客には少々辟易としております。

このような状況の中、京都市のホームページ上に、旅行業法に基づく許可施設一覧を掲載(6/29の時点で5月末までの情報が掲載されています)し、近所に不審な施設があればすぐに確認・通報できるようにするなど、京都市は以前から違法民泊については厳しく取り締まっておりました。

今回の民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行を前に、京都市で2/23に民泊条例が成立した際、その内容の厳しさに、民泊事業者は騒然としたそうです。しかし、世界の観光都市の民泊に対する規制に比べれば、それほど突出して厳しいわけではありません。

前置きが長くなりましたが、京都市の民泊条例について、簡単に紹介しておきます。

①住居専用地域での営業制限

住宅の集中する「住居専用地域」での民泊は町家物件で営業する場合や家主が物件内に居住する場合などの例外を除き、営業は観光オフシーズンの1/15~3/15の60日間のみに限定されます。
これにより、金閣寺や南禅寺、下鴨神社などの周辺ではほぼ営業が禁止されることになります。

②駆け付け要件

市内全域で管理者が緊急時などに10分以内に駆け付けられる場所での駐在を求める「駆け付け要件」が義務付けされます。
何かと問題になっている、別の場所にオーナーがいて賃貸の部屋を又貸しして民泊を行っている物件については、駆け付け義務で殆どが違法状態となるでしょう。
とは言え、民泊専門の管理会社と契約すれば、本規制はクリアできるような感じもありますが、収益性の問題と、今後の改正等によりアウトとなる可能性もあります。

また、最近増えてきたのが、外国人がオーナーの民泊施設。

弊所の近所に実際あるのですが、連絡先が国外になっているので、なにかトラブルが生じても、現状ではお手上げ状態となっています。最近は外国人観光客向けの白タクが問題となっていますが、問題の根っこは同じような気がします。

今回の民泊条例により、京都市はどこまで本気で違法民泊を取り締まるのかを皆が注目しています。特に外国人がオーナーの違法民泊物件に対し、どこまで対応するのか。

外国人が運営する外国人向けの違法民泊が無くならない限り、民泊条例の制定も何ら意味がありません。法的な枠組みが出来上がった後は、京都市の条例の運用力が試されることになるでしょう。

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士