事業計画は社長の所得を基準にしてみる

来期の経営計画を作成するとき、売上高の予測はどのようにされますか?

まさか、『今年度実績の3%アップで』などという計画を立ててませんよね?

売上高を基準に経営を考えると、どうしてもボリュームを増やす方向に走りがちです。しかし、限られた従業員の売上ノルマを増やし、いたずらに取引量を増やしたところで、会社全体が疲弊していくのがオチです。

経営者は、売上高の増加を目指すのではなく、『高付加価値』『適正な価格設定』『利益率のコントロール』を通じて売上総利益の極大化を目指すべきでしょう。

そして一番気をつけてほしいこと… それは『社長の所得をしっかり確保する』という点です。

赤字の決算書を提出することで銀行融資が受けられないのではないか、と考えたとき、手っ取り早く赤字を解消する方法は役員報酬を減額することです。これにより、税務上の制約はありますが、決算書の見た目の利益は黒字になるでしょう。

しかし、これで本当に良いのでしょうか?社長は会社の経営に対して大きな責任を負っていますが、社長も一人の人間である以上、自分自身の生活があるはずです。アルバイト並みに役員報酬を減額して、果たして幸せになれるでしょうか?

そこで弊所では、事業計画を作成する際、まずは社長の会社や仕事に対する想いや夢などを語っていただくのですが、その次には、その想いを実現させるために必要な生活資金、つまり役員報酬を決めてもらいます。

手にすべき役員報酬が決まれば、固定費や変動費の予測を行い、それらをカバーするためにはどれだけの粗利が必要なのかを算出します。そしてその粗利に対し、どれだけの利益率で経営すればよいのかを多面的に検討し、割り戻すことで目標とすべき売上高が算出されます。

どうでしょうか。売上高を予測し、そこからトップダウン式に最終利益を予測する方法に慣れた方には、経営者の報酬を基準にボトムアップ式に売上高を予測する方法はある意味理想論に聞こえるかもしれません。しかし、経営者が幸せになれない事業計画に、あまり意味はないと思います。

こんな事を考えながら、今、私自身の来年の事業計画を考えているところです(笑)。

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士