【医療費控除】対象となる『人』と対象となる『もの』を再確認しよう!

年末調整では処理してくれない『医療費控除』。病院や薬局の領収証を整理して自分で確定申告(還付申告)しないと適用できない制度ですが、サラリーマンの方が医療費控除を受けるためだけに税理士を雇うとは思えないので、ネットなどを調べてご自身で申告されていると思います。

そこで今回は、医療費控除の対象に含めて良い『ヒト』と『モノ』に焦点を絞ってお話しします。

医療費控除の対象となる人

  • 納税者である『本人』
  • 納税者と『生計を同じくする』配偶者
  • 納税者と『生計を同じくする』親族

ここで重要なポイントは2つ。一つは『生計を同じくする』の意味ですが、『同一生計=同居』ではありません。単身赴任をしているお父さんや仕送りをしている大学生の息子、療養の都合で同居していない家族であっても、常に生活費や学資金、療養費等の送金が行われている場合、つまり金銭的に生活を支弁する関係にある場合には、別居であっても同一親族に当てはまります。

『家族間の相互扶助』が目的ですから、当然、必要以上に多くのお金を送金していたり、送金されたお金の殆どを貯金しているなどといった場合は除外されます。

もう一つは『親族』の範囲。税法上の親族は明確に規定されており、次のようになります。

  • 6親等内の血族
  • 3親等内の姻族
  • 里子や養護老人も対象

血族とは自分と血のつながった人たちのことで、両親、兄弟姉妹、曽祖父、いとこなどのことをいいます。法律上は、これらのほか養子縁組によりつながった養親と養子なども含まれます。姻族とは、文字からもわかるように、婚姻により生じた家族です。いわゆる義理の母など、配偶者の両親や兄弟姉妹のほか、血族の配偶者も姻族に含まれます。

『親等』は、親子一代を一単位と考え、世代数を数えます。枝分かれするときには、まず同一の祖先に遡って、その後に降りてきます。なお、親等は世代数を数えるものなので、配偶者は親等を数えません(イメージとしては『ゼロ親等』です)。

自分の両親は一つ遡るので1親等の血族、兄であればまず両親にさかのぼって1親等、そこから兄におりてきて2親等の血族となります。この数え方で6親等の血族・3親等の姻族をみてみると、まっすぐ祖先に6親等遡るのはありえないので、現実的にありそうなのは血族であれば『はとこ』まで、姻族であれば『甥姪の配偶者』『おじおばの配偶者』『本人の配偶者からみたおじおば』『本人の配偶者からみた甥姪』あたりまでが『親族』となります。

医療費控除の対象となるもの

対象になる・ならないの判定基準として、これだけは知っておいてください。

『医療は対象・美容は対象外』

これを踏まえて、以下具体例を挙げておきます。

入院・通院

対象となるもの

  • 医師に支払った診療費・治療費
  • 患者が別の病院で治療を受けるため、医師が作成する紹介状
  • 医師の指示による差額ベッド代
  • 治療のためのマッサージ・はり・お灸費用など
  • 通院のための松葉杖・義足の購入費用
  • 入院時に提供される食事代
  • 通院や入院のための電車・バス代
  • 電車やバスでの移動が困難な場合のタクシー代

対象とならないもの

  • 医師等への謝礼
  • 美容整形
  • ほくろ除去
  • エステ費用
  • 医師の指示ではない場合の差額ベッド代
  • 会社や保険会社に提出する診断書
  • 通院のための自家用車のガソリン代・高速料金代・駐車代
  • 入院時のパジャマや洗面用具など

健康診断・人間ドック・予防接種

対象となるもの

  • 健康診断や人間ドックの費用(異常が見つかったときは医療費控除の対象になる)
  • B型肝炎患者と同居する親族が摂取するワクチン接種費用
  • 特定健康検査・特定保健指導(一部)

対象とならないもの

  • インフルエンザ等の予防接種
  • 人間ドック費用
  • エイズ検査の費用

妊娠・出産

対象となるもの

  • 婦人科健診費用(何らかの異常が発見されたときは対象になる)
  • 妊娠中の定期健診費用、分娩・入院費用
  • 何らかのトラブルで急遽受診、入院したときの費用
  • 不妊治療費用
  • 人工授精費用
  • 乳児の健診・入院費用
  • 医学的理由・経済的理由での妊娠中絶費用
  • 無痛分娩の費用

対象とならないもの

  • 妊娠検査薬費用
  • 婦人科健診費用(異常が見つからないときは対象外)
  • 里帰り出産のための帰省費用
  • 妊婦用下着や赤ちゃんの紙おむつ、粉ミルク代など
  • セミナーなどの受講料
  • マタニティーヨガ、マタニティビクス費用
  • 乳児の任意の予防接種費用

歯科医

対象となるもの

  • 健康保険などを適用した後の自己負担した治療費
  • 歯の定期検診費用(虫歯などが見つかったときは医療費控除の対象になる)
  • 入れ歯・差し歯・銀歯などを作った際の費用
  • 治療としての歯列矯正費用
  • 親知らずの抜歯費用
  • 美容目的ではないインプラント治療費用

対象とならないもの

  • 美容のための歯科矯正
  • 歯石除去のための費用
  • ホワイトニングの費用

眼科医

対象となるもの

  • 健康保険などを適用した後の自己負担した治療費
  • 一定以上の症状の弱視、斜視、白内障、緑内障などで、必要に応じて購入した眼鏡代
  • レーシック手術
  • オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療費用

対象とならないもの

  • 一般的な近視、遠視、老眼で購入した眼鏡やコンタクトレンズ代
  • 眼鏡などを作る際の検眼費用
  • 医療機関以外で受けた視力回復のための施術

医薬品

対象となるもの

  • 医師の処方箋により薬局で購入をした医薬品
  • 治療又は療養に必要な医薬品の購入費用(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

対象とならないもの

  • 疲労回復・健康増進・病気予防などのために購入した栄養ドリンク、サプリメントなど
  • 育毛剤の購入費用

介護

対象となるもの

  • 紙おむつ購入費用(医師の証明書が必要)
  • 介護老人保健施設のサービス費用
  • 訪問介護・リハビリ・ショートステイなどのサービス費用

対象とならないもの

  • 福祉用具のレンタル費用
  • 有料老人ホームでのサービス費用

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士