iDeCoにまつわる用語解説
「iDeCo」が難解に感じられる理由の一つに、関連する用語が複雑かつ馴染みがないという点が挙げられます。そこで、2024年12月制度改正の説明をする前に、基本的な用語の解説をさせていただきます。
iDeCoとは
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の英語表記である「individual-type Defined Contribution pension plan」を略した愛称です。それぞれの単語の意味を詳しく理解する必要はありませんが、簡単に言うと、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度で、個人が掛金を拠出して自ら運用し、老後資金を形成する制度です。
iDeCoの主な特徴は以下の通りです。
- 加入は任意で、自分で掛金の拠出や運用を行います。
実際に運営管理するのは金融機関等となります。 - 65歳になるまで新規加入ができます。
ただし、60歳以上で加入できる方は国民年金の任意加入被保険者か厚生年金の被保険者に限られます。 - 60歳以降に老齢給付金を受けとれます。
受け取りの開始は75歳までに行わなければなりません。 - 掛金とその運用益の合計額をもとに給付を受け取れます。
- 拠出した掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を受けることができます。
- 掛金の運用中、運用益は非課税となります。
- 受取時、一括で受け取ると退職所得控除を受けることができ、年金として受け取ると、公的年金控除を受けることができます。
- 月額5,000円から始められ、1,000円単位で設定できます。
企業型DCとは
企業型DC(Defined Contribution Plan)とは、企業が従業員に代わって掛金を積み立て、従業員が運用を行う制度です。従業員は運用結果によって給付額(年金資産)が変動し、原則として60歳以降に年金を受け取ることができます。
企業型DCには税制上の3つの優遇措置があります。
- 企業型DCの運用益は全額非課税となります。
- 受取時、一括で受け取ると退職所得控除を受けることができ、年金として受け取ると、公的年金控除を受けることができます。
- マッチング拠出を利用した場合、従業員が拠出する分の掛金については、全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。
DBとは
DB(Defined Benefit Plan:確定給付企業年金)とは、企業や公的機関が従業員のために提供する年金制度で、労使の合意のもと、将来の年金給付額を設定し、それに必要な掛金を会社が拠出していきます。DBは従業員が受け取る年金給付額を予め確定させるため、運用者である会社は自社の業績にかかわらず、約束した給付額を支払わなければならないので、会社側の責任とリスクは大きくなります。
DBは、老後の支給に限らず、従業員の退職に柔軟に対応できる年金制度として、退職であれば50歳以上から支給開始が可能であり、また、50歳前の早期退職等にも対応できるよう中途引き出し(いわゆる中途脱退)が容易な仕組みとなっています。
iDeCoの加入資格
iDeCoに加入できる対象者は、国民年金の加入資格により区分されているため、まずはそれぞれについて見ていきます。
国民年金の第1号被保険者・任意加入被保険者
国民年金の第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者およびその家族、フリーランス、学生などをいい、任意加入費被保険者とは、国民年金に任意で加入した以下の方をいいます。
- 60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方
- 20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方
国民年金の第2号被保険者
国民年金の第2号被保険者とは、会社員や公務員など厚生年金の被保険者となる方をいいます。
国民年金の第3号被保険者
国民年金の第3号被保険者とは、厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者をいいます。
現行制度によるiDeCoの掛金の上限(拠出限度額)
iDeCoの毎月の掛金には上限があり、国民年金の加入資格により上限が異なりますので、ご自身の加入資格を確認し、毎月どれだけ掛けられるか把握する必要があります。
【iDeCo公式サイトより引用】
2024年12月制度改正後のiDeCoの掛金の上限(拠出限度額)
2024年12月の制度改正により掛金の上限が変更されるのは、一部を除く国民年金の第2号被保険者のみです。
したがって、国民年金の1号被保険者となる自営業者や、第3号被保険者となる専業主婦などには従来通りの掛金となります。また、第2号被保険者のうち、会社に企業年金(企業型DCやDBなど)制度がない方についても今回の改正の対象外となります。
最後に
今回は掛金の上限額の変更についてのみ解説しましたが、掛け金額変更の取り扱いや手続き方法についても変更されている点がありますので、勤務先や金融機関への確認を怠らないよう気をつけてください。