定額減税:月次で減税対応せず、年末調整で一括減税しても大丈夫?

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令和6年6月分給与から月次減税が始まります

給与担当者にしてみれば悪夢のような定額減税ですが、令和6年6月1日以降に支給する給与に係る源泉徴収税額および特別徴収税額から順次減税額を控除する処理(「月次減税」)が開始されます。

「給与に係る源泉税額から控除する」と一言でいっても、控除される減税額は従業員によって様々であり、最初のひと月で減税額全てを控除できるものもいれば、12月になっても控除しきれないものもいる訳なので、従業員ごとの毎月の減税額の管理など給与事務の負担が大きく増えることが予想されます。

また、令和6年中に減税額の全額を控除できない場合には、令和7年に繰り越さずに、令和6年分の年末調整により精算することとされているため、「毎月の給与で減税対応するのではなく、令和6年の年末調整で全従業員一括で減税対応する方法を認めてほしい」との声も挙がっているようです。

ただし、月次減税の対象となる従業員について、会社が意図的に月次減税の処理を行わず、年末調整のみで対応する方法については、現状は認められておりません。残念ですが6月からの月次減税に向けて、急ピッチで準備をする他ないようです。

源泉徴収票に記載される源泉所得税額は?

源泉徴収票にはその年中に源泉徴収した所得税の合計額が記載されていますが、定額減税が行われた場合の源泉徴収税額は、定額減税する前の本来の源泉所得税額または定額減税した後の源泉所得税額のどちらの金額になるのでしょうか?

答えは「本来の源泉所得税額から定額減税額を控除した金額」が正しい源泉所得税額となります

つまり、例年通りに正しく源泉徴収事務を行っていたとしても、月次減税が正しく行われなければ、結果として過大に源泉所得税を徴収することにもなりかねないので十分に注意する必要があります。

特に所得税の扶養控除の対象とならない16歳未満の年少扶養親族が漏れていないか、配偶者同士で扶養親族をダブルカウントしていないか、2か所以上から給与の支給を受けている場合、主たる給与以外で定額減税を受けていないかなどのチェックは確実に行うようにしてください。

最後に

インボイス、電子帳簿保存法ときて今度は定額減税と、事業者の生産性を著しく減退させる改正が続いておりますが、インボイスのときと同様、定額減税もかなり複雑な処理が要求されますので、次回以降もこの論点について解説していきたいと思います。

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