公務員でもできる副業・できない副業とは?

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質問です

みなさんが国家公務員・地方公務員だと仮定した場合、次に掲げる仕事のうち、副業として認められないものはどれだと思いますか?

  1. 少年誌での漫画連載
  2. 太陽光発電事業
  3. 地域少年サッカーチームのコーチ
  4. 小規模な「せどり」
  5. 消防士の防災に関する講演活動
  6. FX投資
  7. 大家さん業(不動産賃貸業)
  8. 兼業農家
  9. Youtuber
  10. 音楽バンド活動

実際に公務員をされている方であったとしても、各自治体や部署によって解釈の幅がありますので、100%正解の回答をするのは難しいと思います。

ということで、答えは最後に。

公務員が副業禁止とされる根拠は?

一口に公務員と言っても、職種や服務規程、身分や給与などが細かく分けられており、これらは「公務員法」という法律により規定されています。

この公務員法の中に副業を禁止する条文があり、これが副業禁止の根拠となっています。

国家公務員法 第103条

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

国家公務員法 第104条

職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

地方公務員法 第38条

職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

これらを要約すると、「営利を目的とした活動(自営業や会社員)や営利団体の役員や顧問は副業に該当するので禁止」ということになります。

ただし、何でもかんでも禁止というわけではなく、上長などの許可があれば副業として認められるものもあります。

公務員でもできる副業とは?

公務員ができる副業については、Web上で検索すると詳しく紹介されていますが、どのような職種であれ必ず抑えておかなければならない3つの原則があります。この原則が守られていないと、たとえ上長等の許可を受けたものであったとしても、懲戒等の処分の対象になる可能性がありますので、十分に注意してください。

3つの原則

信用失墜行為の禁止(国家公務員法第99条)」
守秘義務(国家公務員法第100条)」
職務専念の義務(国家公務員法第101条)」

例えば、無償で行う地域少年野球チームのコーチは上長の許可があれば行うことができますが、本業に支障が出るくらいに入れ込んでしまったり、子どもたちに体罰などを行ってしまえば、当然何らかの処分の対象となるでしょう。

一方で、従来では副業として禁止されていたものでも、地域の要請や時代の変化によって条件付きで認められたりするものもあるようです。

時代の変化という点について、厚生労働省から公表されている「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にもあるように、民間企業においては既に働き方に対する考え方が大きく変化していることもあり、公務員の世界でも少しずつではありますがアップデートされているようです。

これらを踏まえて、公務員ができる副業としては以下のようなものが挙げられます。

講師・講演活動

公務員としての専門性を生かした講師活動や講演会などは、副業として認められています。これらの活動に伴って謝礼を受けることがある場合は、実費相当額で事前に上長等の許可を得ていれば大丈夫でしょう。

ただし、講演会などで、「ここだけのオフレコですが…」などと組織の暴露話などを行ってしまうと、先程の守秘義務や信用失墜行為に当たる可能性があるので注意が必要です。

執筆活動

書店に行くと現役公務員が執筆された書籍を見つけることがあります。公務員であっても憲法で定められた「表現の自由」は認められるので、上長等の許可が得られるのであれば問題なく行えます。

ただし、公務員内部の暴露や関係する業界の誹謗中傷などを目的としたものは当然認められません。また、単発的な雑誌への寄稿や読み切り漫画であれば基本的に認められますが、長期連載の小説や漫画執筆などは業務専念の義務や営利性に抵触する可能性があるため、認められない可能性が高いでしょう。

ポイ活

クレジットカードや電子マネー、キャッシュレス決済などで買い物することでポイントを貯めたり、貯めたポイントを活用したりする活動を「ポイ活」といいますが、これについては営利を目的とした活動ではないため、そもそも副業に当たらず、公務員が無許可で行ったとしても特に問題はありません。

ポイ活と同じようなものとしてWeb上の広告閲覧ポイントやアンケートモニターによるポイントなどがありますが、これらも公務員の副業には当たりません。

家業の手伝い

実家がコンビニや居酒屋、農業などを営んでおり、土日や祝日などに無償でお手伝いするケースはよくあると思いますが、公務に支障がなく、無報酬で行う場合には公務員との兼業に当たりません。

ただし、後日のトラブルを避けるためにも、上長等の許可を受けた上で行う方が良いでしょう。

不動産賃貸業

例えば不動産賃貸業を営んでいた父親が他界して賃貸物件を相続した場合、そこに住まわれている人の権利もありますので、相続した人が公務員だからといって不動産事業を急に辞めることはできません。なので不動産賃貸業については原則として公務員の副業として認められています。

ただし、投機的な不動産投資(人事院の規定を超えるような大規模な投資や売買益を目的としたもの)については営利目的とみなされることもあるので注意が必要です。

株式・FX・暗号資産などへの投資

不動産と同様にこれらも「投資活動」になるので、営利を目的とした労働の対価には該当せず、その行為も副業に当たりません。

ただし、執務中にデスクのパソコンでチャートを眺め続けるような行為は当然職務専念の義務に抵触しますので注意しましょう。

メルカリやヤフオクなどのフリマアプリ

フリマアプリを利用して使わなくなった家電や服などを売却する行為は「不用品の売買」であり、営利目的で行うものでないため、金額の大小にかかわらず副業には当たりません。

ただし転売を目的とした「せどり」は完全に物販ビジネスに当たりますので、副業禁止規定に抵触する可能性は非常に高いと言えます。

ちなみにせどりを行う際には古物商許可申請が原則として必要となりますが、申請の際、公務員であることがわかると申請自体をほぼ受け付けてもらえません。古物営業法上は公務員でも古物商許可を取得することができますが、公務員法により禁止されているため、受け付けてもらえないということです。

太陽光発電投資

太陽光発電投資については基本的に公務員の副業に当たりませんが、10kW以上の太陽光発電所を運営し、売電収入を得る場合は人事院や上長等の許可が必要です。

それでは解答は?

それでは解答です。みなさんは何問正解されたでしょうか?

  1. 少年誌での漫画連載
    漫画執筆自体は許可を得たうえで可能。長期連載は不可。
  2. 太陽光発電事業
    許可を得たうえで可能
  3. 地域少年サッカーチームのコーチ
    許可を得たうえで可能。実費謝礼程度であれば許可があれば問題無し。
  4. 小規模な「せどり」
    不可
  5. 消防士の防災に関する講演活動
    許可を得たうえで可能。
  6. FX投資
    可能
  7. 大家さん業(不動産賃貸業)
    可能
  8. 兼業農家
    自給目的の小規模農業は許可なしで可能。規模の大きなものは上長等の許可が必要。
  9. Youtuber
    グレーゾーンです。趣味の動画を投稿している分には問題とされないことが多いですが、収益化した場合は営利目的とみなされるでしょう。
  10. 音楽バンド活動
    業務終了後や休日にライブハウスに出演したり、CDを自主制作すること自体は明確に禁止されていませんが、営利目的で活動を行うと副業に当たります。

いかがでしたでしょうか?いずれの場合も活動の頻度や規模により許可が必要となったり、活動自体が認められたとしても、守秘義務などの3つの原則に抵触する場合は処分の対象となることがありますので、実行にあたっては事前に上長等に相談するほうが良いでしょう。

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