条例により防災用品の備蓄が努力義務とされている地域
自治体によっては古くから備蓄計画が策定され、市民に対し一定の努力義務を課している例がありましたが、東日本大震災を契機として、全国各地の自治体でも、防災ハザードマップの整備や備蓄計画の策定が行われ、一般市民や企業に対して食料備蓄や防災用品の備え付けを促す政策が施されてきました。
私の住んでいる京都市では、「京都市防災ポータルサイト」において、市民備蓄や公的備蓄など、備蓄物資のチェックリストや使い方などを詳しく紹介しており、企業においても帰宅困難者支援セットを常備するなど、一定の努力義務が課されています。
このような条例は東京都を始め主要な都市において施行されているので、皆さんも実際に住まれている自治体のホームページなどで確認しておくことをお勧めします。
企業において防災用品を購入した場合の経理処理
上記のように、企業においても帰宅困難者が発生することを想定した防災用品の備蓄が奨励されていることから、防災用品や非常食などの大量購入を検討している会社も多いのではないかと思われますが、その際の経理処理について、どうすればよいか簡単に見ていきたいと思います。
ヘルメットや防寒具など
防災用品としてまず頭に浮かぶのがヘルメットや懐中電灯、非常用電源、テント、毛布、寝袋、ラジオ、救急用品などですが、基本的には消耗品または器具備品となり、10万円以上であれば減価償却の対象となります。
ただし、青色申告が要件となりますが、1点あたりの単価が30万円未満(年間300万円まで)であれば少額減価償却資産として購入年度に一括して経費として落とすことができます。
したがって殆どのものがその年度において経費として処理することができそうですが、非常用電源や大型テントなどは資産計上される可能性がありますね。
また、消耗品や減価償却資産は事業共用して初めて経費として処理することができますが、防災用品はあくまでも万が一の備えであり、実際に災害が発生してこれらを使用したときに経費化されるものではなく、購入して会社に備え付けた段階で事業共用されたと考えます。なので期末に使用されなかった防災用品があるからといって、貯蔵品勘定に振り替える必要はありません。
備蓄食料
備蓄食料については、国税庁の質疑応答事例にもあるように、以下の理由から金額に関わらず、全て購入時の経費(消耗品費)として処理します。
- 食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての性格を有していること
- 備蓄効果が長期間に及ぶものであっても、食料品は、減価償却資産や繰延資産に含まれないこと
- 災害時用の非常食は、備蓄することで事業共用されたものだから、貯蔵品には該当しないこと
- 類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時に経費処理していること
なお、備蓄のための飲食料品は、目的が備蓄であったとしても消費税法上8%の軽減税率が適用されます。
最後に
我が家でも少しずつ防災用品を揃えておりますが、最初に備蓄した非常食がそろそろ賞味期限を迎えそうです。これをどうやって消費していくか…
今のところ子供のアウトドア活動に持っていったりしてますが、そうそう減るもんではありませんね。備蓄食料の上手な調理方法をどなたか紹介していただきたいものです。