インボイス制度:クレジットカード会社が発行する請求明細書だけでは「ダメ」です!

目次

インボイス登録により消費税の申告が必要になった方へ

インボイス制度が開始されたのが令和5年10月1日からだったので、既に消費税の確定申告を経験された個人事業主や小規模事業者の方は多いと思いますが、令和6年に入ってからインボイス登録をされた方や、会計期間が9月に終了する法人については、消費税の確定申告を行うのが初めてといった場合が考えられます。

今回は、このような方々に向けての注意喚起となるような内容ですが、既に消費税の確定申告を経験している方についても、令和6年の確定申告に向けて、改めて確認していただけたらと思います。

クレジットカードの「利用明細」と「領収書」

個人事業主や小規模事業者の方々はなにせ忙しいので、経理にかける時間はできるだけ減らしたいとお考えだと思います。そのために有効な手段の一つに「クラウド会計ソフト」を利用する、というのがありますが、このクライド会計ソフトの利点を最大限引き出すためには、できるだけ現金取引を減らし、クレジットカードなどデータ連携が可能な手段に置き換えていく必要があります。

そうすると、街中の店舗でもクレジットカードを利用することになりますが、その際、「領収書のようなもの」を渡されます。

しかしそれは領収書ではありません。

少し難しい表現になりますが、クレジット販売はいわゆる「信用取引」に該当し、実際にその場で商品の引き渡しがあったとしても、金銭を受領したという事実はありませんので、たとえ「領収書」という表記がしてあったとしても、それは領収書ではなく、「領収書代わりの利用明細書」というものになります。したがって、高額なものを購入したとしても収入印紙が貼られることはありません。

クレジットカード会社が発行する「請求明細書」

クレジットカード会社が発行する一覧状の「請求明細書」は、物品やサービスの販売・提供者が発行したものではありませんので、「領収書」はもちろん、「利用明細書」でもありません。

インボイス制度が始まる前は、クレジット会社が発行する請求明細書に印をつけて、「文具」とか「●●氏接待」など注釈を加えたものを領収書代わりに伝票に添付して処理する事例をよく見かけました。もちろん、所得税や法人税の必要経費や損金に計上する際の証拠書類としては不十分ではありますが、購入店に問い合わせたり、ECサイトの購入履歴などから購入事実を確認できれば、なんとか認められていた部分はありました。

しかし、消費税法上は領収書の要件が厳密に規定されており、特にインボイス制度開始後は、国税庁のホームページでも領収書の記載要件やその必要性を事細かに説明しているので、クレジットカード会社が発行する請求明細書だけでは、たとえその内容が明らかであったとしても、消費税法上の経費として認めてはもらえません。

令和6年分の確定申告に向けて

上記のように、クレジットカード取引を行った場合に必要となる書類は「クレジットカード会社が発行する請求明細書」ではなく、クレジットカード加盟店が発行する「クレジットカード利用明細書」です。

どちらか一方ではなく、「両方」用意しておく必要がありますので、確定申告が本格的に始まる前に、余裕を持って収集するよう心がけてください。

なお、これらを踏まえたうえで、インボイスが不要となる取引や、ECサイトなどで購入した場合の対応方法については、以下の記事を参考にしてください。

目次