コロナ禍が収束し・・・
日本において新型コロナウイルスが認識され始めたのは、2020年1月の中頃だったように記憶しておりますが、もう4年と8ヵ月も前のことなんですね。
しかし4~5年では以前の業績に回復させることさえ困難な業種はたくさん存在するわけで・・・
今回はそんな業績が低迷している時期だからこそ、会社を守るための糸口になるようなお話をしたいと思います。
先送りにしていた「悩み」はありませんか?
皆さんの会社には株主は何人いらっしゃいますか?
適正な株主の人数などというものはありませんが、創業当時にお名前だけお借りしたような方や、ややこしい株主などが居られる場合、株を現経営者に集約してスッキリさせたいと思われたことはありませんか?
またそのような方々から「役員借入金」という形で過去に融資を受けていたけど、返す当てもないし貸した本人も返してもらうつもりもない、けれど帳簿にはしっかり記録されているので、銀行の融資や相続の際にネックとなっている、でもどうしようもないなぁ・・・
こんな「どうしたらよいかわからないけど、今すぐ何かに支障が出るわけでもない」悩みを抱いている経営者は意外と多いと思います。
コロナ禍で弱っている今だからできること
上場していない中小企業者の株式については、基本的に会社の財産や利益の状況が株価に反映されやすいので、利益が出ている会社の場合株価が高くなりすぎてしまい、それが株主間で株の譲渡や贈与をする際の大きな障害になっています。
しかし、コロナ禍の困難な時期を経過したことで会社の含み益などが大幅に減少し、株式の評価額がゼロになっている可能性があります。
株式の評価額がゼロということであれば、何株贈与しても贈与税はかかりませんので、株を集約する大きなチャンスになります。
また、コロナ禍の4年間で会社に累積の赤字(税務上の繰越欠損金)がある場合、「債務免除」を行うことで、役員等からの借入金を消滅させることができます。
専門的は説明は割愛しますが、債権者である役員や親族の了解を得たうえで、債務免除に係る書類を作成し、株主総会等の決議を経ることで、債務を消滅させることができるのですが、経理上は消滅させた債務と同額の「債務免除益」が同時に発生します。
この債務免除益に消費税は課税されませんが、法人税法上は会社の課税所得となってしまうため、金額によっては税負担がかなり大きくなってしまいます。ただし、先ほど説明した税務上の繰越欠損金の範囲内であれば、債務免除益と相殺されることで法人税の課税を免れることができます。
債務免除を行う際の注意点
債務免除を行うと、会社の株価は上昇します。
仮に皆さんが会社の代表取締役で、株式を100%所有していたとします。自分以外の取締役や親族からの借入金を免除することで、所有している株式の価格が上昇した場合、その上昇した部分は株主が得をしたことになるので、債務者から株主に対して価格上昇分の贈与があったとみなされ、贈与税が課税されます。
ただし、会社の繰越欠損が多すぎて債務免除を行っても株価がゼロとなる場合には、みなし贈与の問題は生じないため、活用できる場面は格段に増えてくると思います。
いずれにしても、実際に実行する場合には専門的な知識が必要となるため、税理士等に相談したうえで行うようよろしくお願いいたします。