短期前払費用による節税に注意

皆さんは『短期前払費用』という用語をご存知でしょうか?

税務上の前払費用とは、契約に基づいて継続的なサービスを受けている場合に、すでに支出はしているけどまだサービスを受けていない部分に対応する支出のことをいいます。したがって、期中に地代家賃とか支払手数料として支出したとしても、期末時点でサービスの受領が完了していなければ、前払費用という資産勘定に振り替えないといけません。

この前払費用の特例として『短期前払費用の特例』という制度があります。短期前払費用の特例とは、前払費用のうち、次の2つの両方に該当するものについては、資産計上はせず、全額支払時の経費にしてもいいですよ、というものです。

 ① 支払った日から1年以内にサービスを受けること
 ② 以降は毎年継続して前払いを続けること

短期前払費用の特例を使うと、今年1年分の経費を通常通り計上した上に、来年12ヶ月分の経費を追加で計上できるので、今年の決算ではその分の節税効果が得られると言うものです。

しかし、よく考えてみればわかることですが、短期前払費用の特例は『導入した初年度』しか節税効果がない、ということです。翌年以降は、単なる経費の年払いになるだけですので、経費になる部分が増えるわけではありません。それよりも、保険料や家賃などをあれこれ年払いにしてしまうと、決算月の資金繰りが一気に悪化する可能性があります。

また、これを逆手に取って、必要のない生命保険契約を「節税対策」と謳って契約を迫られた、などという話を聞きますが、これなどは本末転倒の最たるものです。節税対策が必要な状況なので、その年はキャッシュに余裕があるかもしれませんが、来年、再来年と高額な年払い保険料を払い続けることができるかどうか。。よくよく考えて実行すべきだと思います。

最後に笑えないお話をひとつ。

短期前払費用の特例の要件は、実はとってもキビシイのですが、一見すると適用できそうなものでも、実は適用できなかった、というものが結構あります。その代表例が、『税理士顧問報酬』。

契約書に定額顧問料として8万円と記載しているから、毎月頂戴した96万円と、来年1年分の顧問料96万円、短期前払費用として経費にできますよ・・・とは絶対になりません。

少し難しい説明になりますが、短期前払費用に該当する役務の提供とは、『その役務の内容が等質等量でなければならない』とされており、税理士が提供するサービス内容が、質・量共に毎月全く同じということがありえないからです。

さて、なぜ笑えないかといいますと。。このお話を、節税対策として税理士自身がお客様に提供している事例が結構あるからなんですね。

もしも皆さんの会社でこのようなことが行われていたとしたら、すぐにでも弊所にご相談下さいませ!

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士