事業のサブスクリプション化を考えてみる

「With コロナ」の時代におけるサブスクリプションビジネスの意味

この記事を書いている現在、新型コロナウイルスの感染者が東京都で4日ぶりに200人を下回る188人と発表されました。まだまだ予断を許さぬ状況ですが、世の中は、いよいよコロナと隣り合わせに暮らしていかざるを得ない状況となっているようです。

そんな中、弊所のお客様には事業の一部をサブスクリプション化するという変化がありました。

サブスクリプションとは、単に商品を購入するのではなく、その商品やサービスを一定期間利用するために継続して使用料を支払う仕組みのことを言います。身近なところでは、AmazonプライムやNetflixなどがありますが、月額制の会費サービスはだいたいこれに当てはまります。

以前から定額制サービスは存在していましたが、いわゆる定額制は、単に料金を払って物を提供するというシンプルな仕組みであるのに対し、サブスクリプションはより複雑で、料金プランやオプションサービス、無料期間の設定など、長く継続させるための顧客満足度の向上を常に意識しているといった違いがあります。

今回のコロナ禍で、このサブスクリプションモデルを採用したビジネスが、コロナの影響をあまり受けなかったという記事がありましたのでご紹介します。

これは、2020年3月1日から31日までの間、過去12ヶ月間(2019年2月~2020年2月)と比較して、新型コロナウイルスが加入者獲得率(加入者数の伸び)にどのような影響を与えたかという初期の傾向に焦点を当てた調査レポートです。

結論だけ簡記すると、全体では53.3%の企業が加入者獲得率に大きな影響を受けていないことがわかりました。また、サブスクリプションの成長率が加速している企業は22.5%、成長が減速しているが成長を続けている企業は12.8%、残りの11.4%の企業は加入者の解約が加入者獲得率を上回り始めているようです。

サブスクリプションビジネスのメリット

安定した売上を確保できる

例えば建設工事業のような請負型のビジネスの場合、受注の有無により毎月のキャッシュフローが激変するため、将来の資金計画や設備投資などを予測することが大変困難となります。

もしもこの請負事業にプラスして、住宅の定期メンテサービスなどのサブスクリプションビジネスを組み合わせることができれば、新規加入と脱退率を適切に管理することにより、ある程度先の収益を予測することが可能になります。

顧客に関するデータ収集が可能

継続的に顧客と接点を持つことで、顧客の購買行動や嗜好性、関連する商品やサービスへの興味など大量のデータが蓄積されます。これが将来におけるマーケティング戦略に大きな力を発揮するとともに、商品開発やサービスの見直しなど、様々な企業活動に役立てることができます。

ユーザーサイドのメリット

今回のコロナ禍により、気付かされたことが一つあります。

「意外と不要なものって多くない?」

まさに、物を購入し所有すること自体が負担でありリスク要因となり得るということであり、所有から利用に切り替えることによって、選択肢が増え、生活の自由度が増すことが最大のメリットだと思います。

イニシャルコストがほぼゼロで、これまで購入することができなかった商品やサービスを気軽に利用することができ、それに関連した商品やサービスを自動的にレコメンドしたりキュレーションしたりできるので、新たなニーズを喚起しやすいのもメリットだと思います。

サブスクリプションビジネスを成功させるには?

サブスクリプションビジネスは、顧客の継続率を上げ、解約率を下げることが最大のポイントです。顧客を満足させるサービスを継続的に提供したり、顧客との関係性を向上させたりすることが特に重要となります。

顧客が商品やサービスに対して疑問を感じたときにすぐに問い合わせができることや、過去の問い合わせ内容を把握して趣味嗜好データを取ることは、顧客満足度の向上、関係性の構築に繋がります。解約率が高まれば、その分、新たなユーザーの獲得が必要となり、結局今までのビジネスと同じことを繰り返してしまう恐れがあります。

最後に

この記事を書きながら、ふと思いました。

「税理士業はサブスクリプションビジネスのようなものだなぁ」と。

だとしたら、常に顧客満足度を上げ続けないといけないなと肝に銘じた次第です。

この記事を書いた人

世良 寛之