【2020年度税制改正大綱】5G投資促進税制の創設

毎年この時期になると、翌年度の税制改正大綱が発表されます。今回の改正では、子どもの貧困対策としてのひとり親の税負担の軽減、所有者不明土地問題への対応、NISAの拡充などが謳われていますが、今回の目玉は『オープンイノベーション税制』と『5G投資促進税制』ではないでしょうか。

企業の内部留保を投資に回す『オープンイノベーション税制』は、大企業が1億円以上(中小企業は1,000万円以上)の投資をベンチャー企業に対して行うと、出資額の25%を課税所得から控除して法人税を軽減するというもの。

とても面白い税制ですが、個人的に興味があるのはこちらではなく、もう一方の 『5G投資促進税制』 。

来年には本格始動するといわれている5G。このインフラ整備を推進するために税制上の優遇措置を新設しようというもので、総務省と経済産業省が取りまとめています。

『5G』とは”5th Generation”の略で、第5世代移動通信システムのことを言います。現時点では、米国・中国・韓国で一部サービスが開始していますが、日本では今年4月に周波数の割り当てが行われ、本格的にスタートするのは来年になる予定です。この 5Gには3つの大きなイノベーションがあるといわれていますが、これについてはここで説明するよりも、こちらの動画をご覧いただくほうが早いと思うので、ぜひご覧ください。

今回の大綱に盛り込まれた『5G導入促進税制』ですが、国は5Gを『経済社会や国民生活の根幹をなす情報通信インフラ』と位置付け、5Gシステムの構築を国家戦略として進めると明記しています。

税優遇の対象となるのは、今後新制する特定高度情報通信等システム普及促進法(仮称)の認定事業者で、政府の審査により安全性の高い事業者が認定され、これには国内通信事業者だけでなく、ローカル5Gを整備する事業者も含まれる見込みです。

税制優遇措置としては、5G基地局などへの設備投資額に対して15%を法人税から控除(法人税額の20%を限度)するか、取得価額の30%を特別償却するかを選択することができます。当初、自民党税制調査会では9%の税額控除で調整を進めていたようですが、最終的には設備投資を促す必要から、税額控除の割合を15%に拡大したようです。

この記事を書いた人

世良 寛之