社員旅行を全額経費で落とすには

最近では、社内旅行を取りやめる会社が多いようですが、それでも毎年、従業員のためにと色々知恵を絞って社員旅行を企画される社長様もおられます。

社員旅行にかかった支出は、当たり前に経費にできるとお考えの方もおられますが、実は結構細かい要件が定められております。

国税庁のタックスアンサーを調べると、次のように記載されています。

従業員レクリエーション旅行については、①その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追及の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、②下記の運用通達の要件を満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。

(1) 旅行の期間が4泊5日以内であること。

 海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。

(2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること(過半数が参加)。

 工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの社員の50%以上が参加することが必要です。ここでいう社員とは、正社員だけでなく非正規雇用(パート・アルバイト等)も含みます。

(注1) 上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。

(注2) 次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。

(1) 役員だけで行う旅行

(2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行

(3) 実質的に私的旅行と認められる旅行

(4) 金銭との選択が可能な旅行

従業員の家族分の旅行費用を会社が負担した場合の取り扱いについては、平成9年7月2日・平成23年4月14日の裁決事例ともに、その従業員の給与等に該当するものとし、福利厚生費として損金算入は認められませんでした。

あと、一人あたりの旅費ですが、明確に上限があるわけではなく、判例での解釈になりますが、おおむね10万円程度となります。

これらを守っておけば、だいたい福利厚生費として経費処理が可能ですが、更に確実なものとするために、就業規則に社員旅行を行う旨を明記しておくとともに、日程表や旅費の請求書・領収書一式、ホテルなどの施設のパンフレット、現地での集合写真などを保存しておけば、ほぼ間違いないでしょう。

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