【2020年税制改正】所得税・住民税の基礎控除額の一律10万円引き上げ

昨日に引き続き、令和2年(2020年)分の所得税・住民税に係る改正点について確認しておきましょう。

余談ですが、所得税という税目は法人税と違い、最終の税額計算にたどり着くまでが非常にややこしいです。税理士の試験では、会計科目2科目と税法科目3科目を受験するのですが、法人税と所得税はどちらもボリュームが最大かつ選択必須となっているため、大抵の受験生は法人税を選択し、所得税は実務についてから勉強することが多いです。私はどちらも受験しましたが、やはり所得税には苦労しました。

話が逸れましたが、所得税をややこしくしているのは、人それぞれの働き方や家族構成、健康状態や資産状況により、適用要件が細分化されたり、例外規定などがふんだんに盛り込まれているからなんですね。

計算構造を見ても、10個の所得区分、損益の通算、14個の所得控除を計算し、総合課税するものと分離課税するものとを分けて税額を算出するなど、税務署から送られてくる『確定申告書の手引き』だけでは絶対に計算できないだろうなぁといった感じです。

今回は、その中でも『所得控除』に分類される『基礎控除』というものについて、控除額が一律で10万円引き上げられた、というお話です。

基礎控除は、全ての納税者に対して適用されるもので、これまでは基礎控除に対して適用要件がなく、一律38万円(住民税は一律33万円)が控除されていました。しかし、この改正により、①適用要件の設定、②一律ではなく、所得金額に応じて変化、ということになりました。
 ※( )内は、住民税の計算に使用される基礎控除の額

合計所得金額
2019年分基礎控除
2020年分基礎控除
2,400万円以下
38万円(33万円)
48万円(43万円)
2,400万円超 2,450万円以下
38万円(33万円)
32万円(29万円)
2,450万円超 2,500万円以下
38万円(33万円)
16万円(15万円)
2,500万円超
38万円(33万円)
なし

タイトルに、『一律10万円引上げ』と書きましたが、48万円の基礎控除額が適用されるのは、合計所得金額が2,400万円(年収2,595万円)以下の場合に限られます。これを超えると、基礎控除額は段階的に引き下げられ、2,500万円(年収2,695万円)を超えた場合は基礎控除がなくなってしまいます。

基礎控除という名称なのに受けられない人がいる?というなんともスッキリしない感じですが、給与所得控除の引き下げと合わせて考えると、年収850万円を超えると実質的に『所得税の増税』になるようです。

この記事を書いた人

世良 寛之

世良税理士事務所
所長・税理士